注目された金融サミットが閉幕し、内容は事前に上がっていた確認ばかりでサプライズなし。新興国を含めた20カ国が危機感を共有する場が新たにセッティングされたことが成果でしょうか。今後は各国が自国内に持ち帰って、具体策を実現し、来年4月までに改めて金融サミットを開き検証することになりました。
正直、現段階では各国の意見をすり合わせる時間もなく、無事に終わったという印象です。この金融サミットの確認を御旗に、国内の調整をいかにスムーズに進めていくか。各国間の連携を強めていくか。内外の調整が政治に求められていきます。
金融サミット後の相場の安定、さらにその先の相場の上昇を期待していた向きは「目先、強含み材料なし」と売らなくてはならない「処分売り」を継続せざるを得ませんし、短期で儲けようとする人は「買いよりも売りの方が儲けやすい」と、買いが引っ込み売り優勢の投資環境は続くでしょうが、売る人もこの水準から更に売り込むのも「しんどい」という売り飽き気分も感じます。
今、金融の世界では、絶対的なリーダー不在で混沌としています。だから逆に、リーダーになるチャンスと思ってか、フランスのサルコジ大統領のように政策で前に出ようとする人もいます。それに引きずられて、英国のブラウン首相も存在感を出しています。おそらく今回後ろに引っ込んでいたオバマ新大統領も、基軸通貨ドルの地位を守るため、具体的な行動に出てくるものと考えられます。
そんな欧米の動きに、中国もリーダーとして名乗りを当然上げてくるでしょう。「他国から感謝されている」と自画自賛の日本はリーダーとしての位置をキープできるのでしょうか。頑張ってもらうしかありません。
そういう意味では、今回の金融サミットは各国をスタート地点に戻し、同時にスタートを切らせた意味は大きく、来年の4月に向けて前哨戦のつばぜり合いが始まったと見てよいのではないでしょうか。変化を期待したいと思います。