ついに、米国債10年利回りは一時3%を下回る、米国史上最低金利を更新するまで低下しました。ある生命保険会社の運用担当者は「さすがに3%を下回ると、為替リスクを取って投資する意味が無くなる」というコメントをしています。私も同感です。リスクとリターンが見合っていません。
しかし、それは長期で固定するには金利が低下しすぎて魅力がない外国債券への投資であって、外貨投資を否定するものではありません。むしろ外貨投資については、強くなった円で安くなった外貨資産を取得するチャンスになります。私の言う外貨投資とは「保有するだけで外貨資産が増えていく」対象であり、値上がり益を目的にした対象ではありません。
日本人にとって外貨投資でベストな状態は「できるだけ円高で、できるだけ金利が高い水準で」投資できることですが、両方を手にすることは出来ません。現在のように、円高だけど金利が低かったり、金利は高いけど円安だったりすることが大半です。
したがって今は為替が円高であることに注目して外貨投資を行い、金利が高くなったら外国債券投資を検討する準備期間と考えるよい時期です。
しかし、ここまで円高が進み、しかも長期間に及ぶと、「いつまでこの円高に堪えればよいのだろうか」と経験のある方でもくじけそうになります。元々外貨投資を始めた気持ちに戻ってみてください。「何故外貨投資を始めようと思ったのか」。
「国内の低金利に飽き飽きした」という人もいるでしょう。「通貨円の将来を考えると円が強くなるはずがない。円安になるに決まっている」と円安を期待した人もいるでしょう。そして突き詰めると、「通貨円だけの資産では不安だ。円に代わる資産が必要だ」と資産分散の必要性から外貨投資を考えた人が多いのではないでしょうか?結果、他国の通貨を選択したり、金(ゴールド)を選択したり。だとすれば、一番大事なポイントはどこにあるのでしょうか?
「投資対象は円に代わる確かな資産であるか」です。現在の金利や為替の水準よりも、将来の資産として、円と同等か、それよりも確かな資産として存在するかが、日本人にとって重要になると私は考えます。したがって、通貨円に比べて、より確かな通貨(金も含めて)は何かと考えていけば、どの通貨でもよいというわけではありません。そして、その外貨資産をストレス無く長期保有するのに必要な条件は、「為替が円高に振れても元本割れにならない」為替抵抗力のある資産をもつことです。
つまり、投資するなら円安の局面よりも円高の局面であるという当たり前の結論になります。しかし、私を含めて多くの人は円高を期待して待っていたにもかかわらず、いざ円高になるとどこまで円高になってしまうのかと臆病になり、外貨投資に躊躇してしまいます。
「円資産以外の確かに資産を持ちたい」という目的は、おそらく日本人であれば永遠の課題であるはずです。これから新規に外貨投資を考えている人は、今こうした円高の時に目一杯、たくさん、たくさん検討してください。これまで外貨投資をやられてきた人は非常に苦しい毎日でしょうが、「これだけの円高になっても、円換算でこれだけの資産が確保出来ている」と現状を受け止めた上で、「再び円安に振れたときは、この資産が輝くとき」と楽しみに考えてください。
「円の独歩高が一生続くわけがありません」
「米ドルやユーロと比較して、通貨円に長期的な資金流入が続く理由が見つかりますか」
「通貨円が将来基軸通貨になるなら別ですが、通貨円は他国通貨の影響を受けて動く心許ない通貨です。通貨円の価値を管理しているはずの日本政府・日本銀行でさえも、為替水準には無頓着な発言を繰り返しています」
やはり日本人はこうした円高の時を有効に利用して、円資産の価値を守るため、外貨資産への分散投資も並行して考えていくべきだと私は思います。もしこの意見に共感し、外貨投資も考えてみようかなと思われた人がいれば、是非「いま債券投資は面白い!」を読んで検討する機会となれば幸いです。