米連邦準備理事会(FRB)が個人向けの信用収縮を和らげる目的に最大で8000億ドル(約80兆円)に上る新たな金融対策を発表したと今朝の日経記事にありました。
金融危機の根本は「お金の必要なところにお金が届かない」という金融の目詰まりが発生していることです。本来はお金を仲介し融通する役目にある金融機関が、自分の身を守るのに一生懸命で機能不全を起こしているからです。中央銀行(FRB)がいくら金融機関に資金を供給しても、金融機関がそのままお金を貯め込んで、その先の「お金を必要とする企業や個人」にお金を貸さない状態が続いています。
そのためFRBは、「金融機関を当てにしていたのではらちがあかない、信用収縮の解決の道は遠い」と、金融機関をすっ飛ばして、FRBが直接、お金を必要とする企業や個人にお金を貸し付けるルートをつけようとしています。範囲は住宅ローン、自動車ローン、クレジットカード、学資ローンなど、幅広い範囲で、借り換えをサポートする、ありがたい内容です。
これは2002年、2003年の日本に起こった金融危機のときに、日本銀行も同じようなことを行いました。事ここに至ると、ただ「金融機関をつぶさない」だけではなんの解決にもならず、金融機関が行うべき金融機能を政府・日銀が負うしかありません。
政府・中央銀行が借り換えの後ろ盾になってくれるなら「安全なところを選んで貸し出してもいいかも」という、金融機関が現れて、金融機能が回復する過程に入ってくることを期待します。
今回の件で「そんな大盤振る舞いをして米国は大丈夫か?」という懸念の声が上がっていますが、金融サミット後何日も経たないのに、「米国政府・FRBから対策らしい対策もない」と市場には苛立ちの見方が充満しました。やったらやったで、やらなかったらやらなかったで、文句を言われる。本当に現在の政策担当者はストレスのたまる過酷な仕事だと思います。しかも、政策を実行した後、すぐの効果を期待されていますから、いい加減な政策だと評価を受ければ、いっぺんに評価を下げてしまいます。
それでも、現在の危機に直面した政策担当者は使命として、逃げるわけにはいきません。次なる手を頭をひねって、先を読んだ手を打たなければなりません。私は着々と米国は手を打ってきていると評価しています。もし金融危機の震源地が日本だったり、他の国だったら、これまでに、どれほどの手を打てたのでしょうか。
2次補正予算案提出を来年に先送りした麻生内閣。この判断は命取りになりそうですね。政治の信頼は地に落ち、この信頼回復に必要なのは国民の期待を高める政策であるはずなのに。
「あ〜あ」という国民のため息も受け取れないぐらい自分達のことで目一杯の政治家さんから、いいアイディアを期待できるのでしょうか?
米国よりも明らかに日本の方が状態がいいはずなのに。打つべき手段が多いはずなのに。一緒に沈み込んでいる。政治家さんにやる気がないのか。能力がないのか。その他に理由があるのか。安倍さんから麻生さんのバトンタッチも無駄に時間を過ごしただけで終わりそうです。