バブルの破綻が確認されると、宴の後始末の話が続々と表面化します。金融機関など運用のプロに似つかわしくない巨額の損失計上、上場企業同士の無理な株式持ち合いを疑われる多額の株式評価損、学校法人や財団など世間的には安定運用に努めていると見られているところの意外な巨額損失など。次に来るのは、社会の弱い部分から起こる世情不安に伴う暴動・暴挙・テロ。最後に、官を巻き込んだ過去の汚職スキャンダルの発覚。好況時には隠れていたものが景気後退期に一気に吹き出すのがこれまでの流れでした。
AIG会長は企業存続のため、多額の報酬から年1ドルの報酬を受け入れましたが、ビッグ3の一角フォードの会長は拒否したという報道を聞きました。その報酬はいくらなのかと興味を持つと、なんと20億円を超えているらしい。ビッグ3、フォードの存亡の危機の時に、どういう神経なのでしょうか。「経営難は経営責任ではなく、金融危機から発生した」と自らをただの被害者の位置づけにおいてしまう厚かましさは、こういう感覚の持ち主だったから言えたのでしょう。
麻生総理と同じように、言葉の言い回しは変えられても、人間の本質はなかなか変えるのは難しいですね。自ら率先して経営者責任を果たしていく姿勢がなければ、再建計画の賛同は重要性を理解している人でも了解は難しいものと思われます。
かといって、この危機を前にして、一時の停滞も許されません。これまでも大変な難局でしたが、この12月は正に「先に明かりが見えるか」を示せるかの転換期にあると私は考えています。
昨日、私のクライアントの一人から「今年は挽回のチャンスはないですか?円高・株安の流れはそろそろ止まりませんか?」という問い合わせがありました。
「現在はまだ底値を確認するのがやっとの状態で、本日の株高・円安が明日も続くという保証はまったくありません。相場が毎日、ぶつぶつと切られている状況です。
もし株式投資を行うのであれば、売られすぎた反動でどこまでの戻りがあるかを見て、少しでも安値で仕入れ、高値近辺で売却して小刻みに利益を重ねる。出来る限りは翌日まで引っ張らず、当日中の売買で決着させる方法を選ぶしかありません。
●●さんの投資スタイルには合わないですね。しかし、いずれ割安な水準で投資すれば、一週間単位で割安・割高を確認しながら投資の継続を検討できる時期がきます。投資する余力が今あるのなら、割安だと思う場面ではすぐの上昇を期待せず、少しずつ追加投資をされたらどうですか?少なくても現在の状況では、挽回を図るという気張りは捨てた方がよいと思います。冷静な判断の邪魔になります」と私の考えをお伝えしました。
生活設計塾クルーが主催する12月8日、10日に控えたセミナーで、私が話す内容を現在整理しています。考えれば考えるほど、2009年は「じっくり投資をしたい人」にとってはチャンスの年になるという考え方に至りました。
ただし、2009年は2008年と同様に、すぐの値上がりを期待できる年でないことも確かです。
この投資環境といかに上手に付き合っていくかが大事なポイントだと思います。