為替相場、しばらく続いた円の独歩高は区切りに入ったか!?

 ニューヨークダウは7000ドルを大きく割り込み6594ドルとなりました。当然日本株式相場もその影響を受けてはいますが、円安基調に支えられてなのでしょうか、米国株式相場と比較すると堅調な動きになっています。
 昨日はついに英国も政策金利を1.0%から0.5%引き下げて0.5%、欧州も2.0%から0.5%引き下げて1.5%にしました。双方とも、中央銀行の設立以来の最低金利です。しかも英国は金利を最低水準に引き下げた上に、さらに資金供給を行いジャブジャブにして、いわゆる量的金融緩和策も導入します。
 これまで円が全ての通貨に対して価値が高くなる「円の独歩高」を支えた理由のひとつだった「日本には金利の下げ余地は無いけど、他の国は景気後退で金利を引き下げざるを得ない。したがって、これまで金利差で買われていた材料が、今後金利差縮小という悪材料に変わり、他通貨は売られ、円は買われる」という金利差縮小要因はほぼ消えたことになります。
 日本も米国も、そして英国もゼロ金利状態で引き下げ余地はなくなりました。ユーロにはもう少し残っていますが・・。
 例年でいえば、3月末は日本企業の決算が集中する特殊な月ですから、「とりあえず決済資金として円を準備しよう」と円需要が高まり、円高に振れやすい月です。
しかし今年はどうなのでしょうか。日本の貿易収支は黒字であることが当たり前でしたが、今年度は通期で赤字になりそうです。1980年度の第二次石油ショック以来です。
2002年度から毎年10兆円程度の黒字だった日本が赤字に転落するわけです。もしかしたら円を確保するよりも、ドルを確保するのが難しいのではないでしょうか。
 円が買われてきた背景がひとつずつひとつずつはがれていくように思います。唯一「円キャリー取引」の巻き戻しによる影響が読めないところですが。
  円が強いうちにやっておくべきことはないか。考えておいて、損はないと私は思います。