ファイナンシャルプランナーの役目は翻訳だと思う!!

 私は投資信託の説明会やファンドマネージャーの話を聞く機会があれば、「これは、こんな人に向いた金融商品だな。こういう人には案内してはいけない金融商品だな」と金融商品と投資家像を結びつけて、「この投資信託を、道具としてどんなふうに利用したらよいのか」をイメージします。
 また投資の相談を受けてる際には、その人の経験や知識の度合い、そしてその人の投資に対する興味・関心のあり方、投資目的を会話の中で確認を行い、その人の目的にあった金融商品には「どんなものが考えられるのか」などをイメージしています。
 投資信託などの運用のプロ、作り手がどんな思いで、どんな使い方をしてもらいたくて、この金融商品を作ったのかを、その人たちに代わって、代弁する立場が私のめざすFPの仕事。たまに、この金融商品は「どの人たちを対象に、どんな思いで作ったのか」が見えない金融商品もありますが。
 そして、投資家の中には、自分の投資目的さえも言葉に出来るほど明確ではなく、ましてや、その投資目的に沿った金融商品にどうやってたどり着いたらよいかもわからない方がたくさんいます。そういう方が自分の投資目的を確認し、その目的に沿った金融商品にたどりつくサポートまでできればと思っています。
 そして、そんな投資家と運用のプロ、作り手との間に入り、投資家の要望や不満を伝え、運用のプロはそれを受け止めて改善し、投資家に対して満足度の高い商品提供を行う、その橋渡し、互いの翻訳者の役目を理想としています。
 本日の日経に「三菱UFJ投信 商品開発、FP参加 資産配分など助言」という記事がありました。金融機関が自前ではなくFPと協力して、投資家目線の一般向けセミナーを開いていくのは好ましい流れだと思いますが、FPが個別の投資信託の商品開発に関わって助言する意味がピンと来ません。
「この投資環境では、日本株、海外株式、海外債券の投資割合は10%にすべし」とFPが資産の割合等を運用会社に対して注文をつけるということでしょうか。
 FPは運用のプロではありません。運用は運用会社にまかせるべきでしょう。多くの投資家の代わりとしてFPが「なぜこの資産配分なのか」など丁寧な説明を運用会社に求めて確認したり、
投資家が数ある投資信託の中から自分にあった投資信託を選ぶまでのヒントになるように、同じような投資信託がある中で「この投資信託はこんな特徴がある」と説明し案内する役目がFPだと思います。
 そもそもひとつの金融商品で全ての人を満足させるオールマイティの金融商品などあるわけがありません。FPの助言が入った投資信託だから、全ての投資家に満足のいく金融商品になるなんて有り得ず、もし投資家にそんなふうに受け止められたとしたらミスリードだと思います。
 投資家は自分の投資目的に合わせて、金融商品を組み合わせて、使い勝手の良い資産配分を試行錯誤で作っていかなければなりません。その過程でFPの役割は重要だと思いますが、商品開発の作り手の中にFPが関与することがそれほど大きな意味をなすとは私には思えないのですが。
 決してケチをつけるつもりは毛頭ありませんし、新しい試みとして注目しています。FPが開発に関与することで、「従来の投資信託と何が違ってくるのか。どんな投資家メリットがあるのか」について丁寧な説明をいただきたいです。