金利は低下しているはずなのに、何故住宅ローン金利は上がるのか??

 本日、日経の朝刊に「住宅ローン金利、10年物、12年ぶりに高水準」という記事がありました。7月実行分の固定型住宅ローン金利を全期間引き上げると発表し、固定金利型ローンを積極的に取り扱い始めた1996年以降でもっとも高い水準まで上昇したとあります。期間10年、三菱東京UFJは4.25%、りそなは4.15%。確かに高くなりましたねえ。少し前までは、「住宅ローンを借りて外債投資でサヤが取れたのに」と思ってしまいました。
 しかし、この金利を引き上げた改訂を意外に思った人も多いのではないでしょうか?
確かに少し前までは国内の金利も高かったけど、新聞記事の拾い読みでも「最近は株安の金利低下」って書いてあったはず
 その通り。10年国債利回りは、6月月初1.7%程度始まり、中旬は1.9%まで上昇し、昨日は逆に1.6%を割り込む水準まで低下しました。住宅ローンの固定金利はこの10年国債利回りの水準を参考に決められ実行までにタイムラグがあるため、今回のように違和感のある決定もあり得るわけです。ここでローンを決めるときに「現在の金利水準は妥当なのか、安いのか、それとも高いのか」のイメージを、ローンを組もうとする人、そしてローンの相談に乗ってくれている人に共有できていれば、良いパートナーなんですが。
 私はこのブログの中で何度か申し上げてきました。「現在は金利確定物で運用する良い機会があるので、金利確定物の動きに注目してください」と。逆に言えば、現在の金利水準で長い固定金利のローンを組むことには慎重であった方がよいと思います。かといって「変動金利にしなさい」と言っているわけではもちろんなく、金利低下場面では「固定金利にするぞ」とあまり欲をかかず、準備してくださいということです。私は国内の長期金利が海外の金利並みに上昇することはないと思っていますし、水準が水準なのでびっくりするほど大きく低下する事もないと考えています。
 運用も調達も、「高い、低いにそんなこだわらず、そこそこの金利でよし」と考えたら良いのではないでしょうか?償還満期のときに改めて「今後どうするか」と考えれば良い話であり、取り返しがつかないわけではないのですから。それにしても、今回の改訂には違和感がありますねえ。