なぜ売れる個人向け社債??

 結論から言えば、個人が個人向け国債のことを正しく理解されたら、かなりの企業にとって、個人向けに社債を発行することが困難になり困ってしまうことになると思います。

 先日は、ある証券会社のコメントに、「今後はさらに個人向けに社債を発行するニーズが増える」とありました。私もそうだろうと思います。しかし、それは企業側のニーズであるとことわっておきたいと思います。
 この7月発行の変動金利型10年個人向け国債の利率は0.77%でした。この利率を多くの個人は認識していないのだと思います。個人向け国債はつまらない、おもしろみのない金融商品であるという刷り込みが個人の中でできあがっているのだと思います。
 今回の変動金利型10年個人向け国債も、たった2300億円しか売れませんでした。前回のものが126億円しか売れていなかったので、「売れた。売れた」という話になってはいますが、確定利回り商品を求めるニーズがこれだけ高まっているのに比べて「全然」という水準といえます。
 一方で、4年、5年の個人向け社債が0.3〜0.6%の利率でも売れていたという報道もありました。これは明らかにおかしい現象です。つまり、今回の個人向け国債の存在は人の目に留まっていなかった証拠です。次回の変動金利型10年個人向け国債の発行が10月なので、「個人に低い金利で社債を発行するなら早くしなくちゃ」と駆け込みの発行が増えるかも知れません。
 個人向け国債は身近な金融機関のどこでも買えるので、個人向け社債のように前もって証券会社に口座を作っておくことも必要ありませんし、売り切れて買えないということもありません。したがって、個人向け国債をモノサシにすると、今後、個人に社債を買ってもらおうと思えば、金利水準で目を引くものでなければ難しくなったということです。
 0.7%以下の確定利回りもの??それっていいの?
そういうやりとりが増えるでしょう。
 明日の14時5分の日経CNBC「TOKYOマーケットウオッチ」で、この個人向け国債について、話をさせていただきます。