あるベテランの投資家から、「前川さん、元気にしていますか?」と久しぶりに電話を頂きました。いつもであれば、「相変わらずです」と答えるところですが、さすがに大王製紙、オリンパスと、今の時代とは思えない不祥事が続いて発覚すると「少し元気がありません」と答えを返さざるを得なかったです。
「指し値をしていた株式が1円差で売れず、そこから値は下げ続けて3割も下げちゃって後悔しているんですよ。あれも売れない。これも売れない。売れるものがないんですね。」
そう聞いて、「そうですねえ」と私も受けるしかありませんでした。
ユーロ危機の深刻化により、欧州の外人投資家は日本株を買うどころではなく、しばらくは売りが先行すると思われます。加えて連続する不祥事で、あえて日本株を買いたいと考えていた先があったとしても様子見に入るのは仕方ないことだと思います。日本株式の上昇のきっかけは、外人投資家の買いしかないと考えていた私は当面は売られすぎた水準からの戻りは期待できたとしても、期待を込めた買いは当分の間難しくなったと考えています。いくら割安な水準であったとしても、割安だと確信して買いに来る人の数が増えないと株価は上がりません。
「前川さんはどんな株式を持っていますか?」。私は「これとこれ」とお話しすると、「いつ頃から買っているの?」と聞かれ、「今年に入ってから」と答えると、「あー、前川さんもそんなに損をしているんなら仕方ない」と笑われました。
「今は株価水準の高安以前に、株式投資にやる気が起こらないというムードが株価の頭を押さえているわけですから、ここでジタバタしても体力が落ちるだけです。しばらくはムードの好転を、余り期待せずに待ちましょうよ」と締めました。
このベテラン投資家の方、実は相場の一番苦しい時期に電話を頂く人なんです。今回もそうであるようにと願っています。