米国の政策金利は予定通り、5.25%のまま、2ヶ月連続の据置となりました。市場には大きな波乱はいまのところありません。これが米国の中央銀行FRBにとって何よりも重要なことです。
インフレが落ち着き、原油などの商品市況の過熱感も抑えられ、一方個人消費や設備投資は比較的堅調に推移している。結果、株式・金利・為替がいずれも落ち着いている現在の状況は、市場が政策を支持してくれている表れだからです。
しかしただひとつ、FRBが気にしていると思われるのは米国長期金利が4.7%台と政策金利5.25%と比較して低すぎることではないでしょうか。この状態を放置しておくと、「来年年初には政策金利を引き上げよりも、むしろ米国経済の減速を受けて引き下げに転換するのでは」という思惑を増長しかねず、そうするとそれを打ち消すために無駄な労力が必要になり、それを見て市場に不安が広まり混乱する火種になりかねないからです。今回も「インフレを懸念している」という表現を残したのは、長期金利のこれ以上の下げは避けたいという市場へのメッセージといえるでしょう。
米国長期金利は当面4.6%、もしかしたら4.5%を目指す低下があり得るかもしれません。米国金利が下がれば、他国の金利にも影響が出るでしょう。
それに伴うドル高堅調地合いは当面続くかもしれませんが、これまで市場から注目された高金利に対する妙味が薄れ米国債投資ニーズが落ち着くことで、ドル高を支えたエネルギーは減退し、再び4.8%、4.9%と金利が上昇する場面が確認できるまでは、円高に振れる機会があるのではと、まったく個人的な見方をしています。どうなることやら。円高を期待する私に、ワクワク感が戻ってきました。