米国の景気減速懸念の後退とデフレ対策に圧力かかる日銀

 ユーロの景気後退が新興国の景気後退懸念へと深刻になり始めていましたが、昨日の米国の景気指標(米雇用情勢の好転と米失業率7%台に低下)の結果を受けて、一時的な良い数字という見方が大勢ではありますが、世界の景気が土俵際で踏ん張っている様子にホッとしたムードになりました。

 加えて、前原経済財政相が閣僚として出席した日銀の金融政策決定会合では、日銀が「物価安定のメド」とする消費者物価上昇率1%に達する時期が想定した2014年度よりも遅くなる可能性を示唆しました。
 日銀が自ら決めた「2014年度までに消費者物価上昇率1%達成」ですから、評論家的に「そうなりそうです。このままの状況を放置するのはいかがなものか?」と日銀が他人事でやり過ごすことは許されず、この発言は「デフレ解消に向けて具体的な取り組みを実行せざるを得ない」という日銀総裁の覚悟を示すものだと私は感じました。

 デフレになっている要因は、単純なものではありませんが、明らかなのは「円高を放置していては解決の画は描けない」ということです。単純に「外債を買え」というのは、「米国債やユーロ債などを購入して、割高な資産を増やすことが国益なのか」と疑問に思います。
 国内の金融機関、企業が国益にかなう海外資産を取得するためなど、臨機応変に対応できるように外貨資金をプールするファンドを作り、そこが発行する外貨建て債を日銀が購入するなんてのはいかがでしょうか。
 現在、商社などが積極的に鉱山権などを獲得したり、国益に貢献しそうな種をまいている日本企業があります。こうした動きの裾野をもっと広げられるような支援が望ましいと思います。

 「このまま円高を放っておくと、日本は調子に乗って、自分たちの国益がそがれ続けてしまう。なんとかせねば・・・」と円高をトコトンシャブリ尽くし、「相手が円高に音を上げるようなことは何か?」を次々と考えればいいだけです。「為替介入しか浮かばない」人たちは不思議です。本当に真剣に考え抜いた末なのでしょうか?

 たぶん「日本にどんなことをされたらイヤですか?」と聞けば、「なんで日本が手を打ってこないのが不思議だ。いくらでもやるべき有効な手段はあるのに・・。でも、それは人に聞くことではなく自分で考えることじゃない?」と言われてしまうのだと思います。

 いずれにしても、日銀も頭をひねって一歩を前に出ざるを得ない事情になったと思います。