「警戒から達観」へとは言い得て妙!!

 昨日、現在の相場環境を「警戒から達観へ」と表現した人がいましたが、その通りだと思いました。米国の量的緩和を縮小することに対して警戒するムードがまだ収まったわけではありませんが、今後は、量的緩和が縮小する流れを受け止めた上でどう投資戦略を練っていけるかと達観して前向きに考えていったほうがいい相場の展開だと思います。

 暴動デモで揺れたトルコ、ブラジルは、通貨の動きで見ると、トルコリラは50円、ブラジルレアルは44円程度で落ち着きそうです。反動高を期待してトルコ株式やブラジル株式に投資する気にはなれませんが、金利が上昇して通貨安にもなったトルコ国債やブラジル国債への投資は検討の価値があります。もちろん、その時は流動性を確保するために、外債への直接投資ではなく、外債型投信を選択したほうが良いと思いますが・・・。

 金(ゴールド)への投資はどうかと質問を受けることが多くなってきました。これも個人的な考えですが、金は儲かるものと投資対象、投機対象として買い付けた投資家が上値で大きくつかまっている状態ではしばらく売り物押されて、大きく反転する期待は難しいと思います。
 ただし、「ペーパーマネーの価値は信じられない」「ハイパーインフレの世の中になったら大変だ」とそうなった場合の保険の意味で金を保有しようと考える方にとっては、非常に好ましい環境が戻ってきたと言えます。この先、金が1000ドル、800ドルと下がるかも知れないけど、ペーパーマネーとの分散投資先として、ハイパーインフレが懸念されて実物の値上がりが始まる時の備えとして、すぐの値上がり益を期待せず気長にじっくりと金の割合を増やしていく検討は価値があると思います。

 気になるのは、中国政府に落としどころの考えがあって金融を引き締める政策に踏み切ったのかです。万一、金融不安が起こったときのセーフティネットを準備せずに、いたずらに金融を絞ったら、金融は目詰まりを起こし暴走してしまいます。「ちょっと懲らしめてやるか」的な軽率な一手が取り返しがつかない大きな代償を払うことになりかねません。そうなっては、政府が安全宣言をしたぐらいではおさまらないからです。火種の存在を中国政府みずからがマーケットに露わにしてしまった。中国政府はこの事態を早期に収拾するため、速やかに日本、米国、欧州とセーフティネット構築について知恵と協力を求めたほうがいいと思います。