昨日、安倍総理は安全保障法制の見直しに関する政府の有識者会議の報告を受けて、「政府として検討する債務がある」と述べ、憲法解釈の変更に意欲を示しました。マーケットの反応は冷ややかだと言えます。
場の雰囲気を読まずに、自分の言いたいことだけを話す人間がいてムードを悪くなったときに、「場をわきまえろ。今、それを言うべき時か」と叱責を受ける場面がありますが、まさに、現在の安倍総理はマーケットから叱責を浴びる局面にあると思います。昨年12月の靖国訪問と同じように、「だって、どうしてもやりたかっただもん」と自分の思いを優先して国益を後回しにした印象を受けます。
公明党山口代表が主張するように、「まずは景気の回復、経済成長を促す政策を優先すべき、集団的自衛権容認の前にやるべきことがある」がまっとうな考え方であり、せめてその実現に目鼻がついた後にじっくり慎重に議論するべきだと考える人が大勢だと思います。その大勢の思いが伝わらない国の代表であれば、今後の運営を懸念せざるを得ません。
集団的自衛権の容認を政策のど真ん中に置きながら、成長戦略を推し進めるなんて芸当は到底期待できず、アベノミクスは「アベノリスク」へ転じていくと考えるほうが自然です。是非、政府には思いは仕方ないにしても、経済優先の旗をど真ん中に据えて、2015年に明るい見通しを取り戻すことに専念して頂きたいと強く願います。
安倍総理が例に挙げた事例のように、「それはそうだろう」と誰もができないことがおかしいという事象を具体的に示して、その行動のみを容認し事例を増やし時間をかけて選定基準を固めていき、時の政府が恣意的な判断を行う余地をつぶしていく手順を踏んだほうがいいのではないでしょうか。