「お金は減らしたくないけど、これ以上増えるのも困る。こんな悩みに前川さんだったらどう答えますか?」と聞かれたことがあります。そのご婦人は高齢で寝たきり状態。自宅から外に出ることもない。かなりの資産家で、自分の手が届く範囲にお金を置いているそうです。つまりお金に囲まれて寝ているということでした。
その人の悩みは、自分の資産がこのままでは大嫌いな一人息子に行ってしまうこと。したがって下手に運用して儲かったら、息子に相続するお金が増えるだけと、かなり前から投資にも興味をなくしてしまったとか。
どんなきっかけで人を信じられなくなったのか。回りには頼りにできる人、相談できる人はいなかったのか。「心が貧乏で恵まれない人だなあ」と、人のことながら寂しくなりました。
「生きたお金の使い方をしなさい」「棺桶までお金は持っていけない」とかよく言われるし、聞きもします。
これからの時代、子供に財産を残すことよりも、いかに死ぬまでに貯めた財産を使い切るかが大きな課題だと思います。せっかくお金を残しても、「あの人はけちだったね」「信じられる人が誰もいなかった寂しい人だったらしい」と言われてしまう生き方はしたくないと私は思います。