昨日日銀は無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.25%引き上げて0.5%に、補完貸付制度の基準貸付金利を0.35%引き上げて0.75%にしました。為替も、株式相場も大きな混乱もなく、引き上げたことに対する動揺が広がらなかったため、日銀はまずまずの出だしでホッとしているのではないでしょうか。
中央銀行として日銀の信任が保てたと、海外では自分の国のことのように心配し、ホッとした風でもあります。それぐらい、前回の引き上げ騒動のゴタゴタは市場が呆れて心配するほど、レベルの低い物だった言えます。
今回注目したいのは「超低金利を続けると資金の流れや資源の配分にゆがみが生じる」「円借り取引などによっては為替相場を含め、金融資本市場の中で非常に偏った動きがあると、いずれ経済・物価情勢に悪影響をはね返してくる可能性がある」と、欧米と同様に過度な金余りの問題点を指摘している点です。
また0.5%の金利水準を「相対的に非常に低い水準」と言及しており、長期金利が急騰することがないように注意を払いながら、足下の短期金利は様子を見ながら上げていくという意志を感じました。
足下のジワジワと上がるような金利上昇は直ぐには効いてきませんが、借金して投資を行っているところに過度な投資を見直させる機会になると思います。これによって、目先ミニバブル的な大きな株高、円安への流れはなくなった一方で、相場の息は長くなったと考えれば、健全な投資家にとって、今回の利上げはプラスだと思います。
それにしても、「日銀に結果責任を問う」という、責任を押し付けた政府・与党のコメントは情けない。政府・日銀は一体ではなかったのか。「今後の景気動向・実態を日銀と共に慎重に検証していきたい」とか、結果が出た以上、前向きなコメントができないものか。国民の一人としては逃げる発言は何の意味もなく、最善を尽くしてもらいたい。