サブプライム問題を当初大した影響はないと楽観視していただけに、不安が広がると始末に負えない。サブプライム関連商品の損失額や評価損額が表面化すると「これからももっと出るはずだ」と疑心暗鬼になり、現在問題になっていないが疑わしいものまで用心のために売却を急ぐ。今まで当たり前に買い取りをしていた業者までが、あまりの売り打診の多さから様子を見るようになり、買い取り先が存在しなくなる。そして評価額だけがみるみる下がる。買ってくれないとなると、ますます不安になる売り手の数が増える悪循環に陥っているようだ。
そもそもサブプライムローンを担保にしているわけですから、信用が高くない人の中でも必死にお金を集めて返す人が多く存在すれば評価がゼロになるわけがないはず。貸してくれる人が世の中に存在する限り、サブプライムローンの関連金融商品は安泰である。
しかし、これまで貸し出し競争で個人、それも信用の低い人にまで過剰な貸付を行ってきた各国の金融機関が、今回のサブプライム問題を機に一気に貸出に慎重になった。そして一部では貸しはがしがおこっているという話しも聞く。こうなると信用の低い人どころの話ではなくなる。信用力のある人でも、ある一定額以上は貸さないという量的な規制をかけるかもしれない。すると信用が高くても借りすぎている人は何かを売却して資金手当を行う必要が発生する。この行為は金利を上昇させる。金利上昇がさらに返済を急がせる結果になる。
売却圧力が増してくると信用リスクのあるものには、ますます買い手がつかなくなり評価損ばかりが膨れる。そして金融機関は更に信用リスクを嫌い、新規融資を絞る・・・、の悪循環。金融機関の融資姿勢の硬化がさらに自分の首を絞める悪循環から抜け出せない。
金融機関は好業績に浮かれ、貸し出し競争に邁進し、身の程を超えた信用膨張・金余りを加速させた。サブプライム問題に端を発した相場の急変は、その反動で信用収縮へのパニックをもたらした。このパニックにより、金融機関、機関投資家の投資姿勢はしばらく慎重にならざるをえません。
「さすがにここまで来たら売られすぎでしょう」という、懐の深い投資家の登場を待つしかありません。それには少し時間がかかりそうですね。
2003年に日本株が8000円割れの安値を付けたのは、企業の年金基金が株価変動リスクを嫌って泣く泣く優良企業の株式を切っていったからです。機関投資家は理屈ではありません。売ると決めたら売らなければなりません。途中、「割安だな」と思っても、決めた以上は売らなければなりません。
逆に個人投資家は、買いたくなければ買わなくてもいいし、売りたくなければ売らなければいい。
機関投資家が売りたくないのに売らなければならない時は、往々にして割安な投資環境を提供してくれます。ここからは割高なものを追うよりも、割安になっていくものに、個人投資家は注目していくとよいと私は思います。何が割安になっていくのか、楽しみです。