2003年当時、メガバンクによる貸しはがしで建設・不動産・小売業の業者は大小を問わず、資金繰りでキュウキュウしていました。メガバンクは不良債権をこれ以上増やすまいと自分を守るために、追加融資を拒み、他から資金繰りするように促し、自分の債権を回収しようとしました。資金が必要な先から資金を出すところが回収するわけですから、お金が回るわけがありません。「金融は目詰まりを起こしている」と当時の日銀は、金融機関の貸し出し姿勢を非難しました。
そこで、脚光を浴びたのが「証券化」です。建設会社や不動産会社には担保がないため、お金を貸してくれるところがありません。目の前に仕事があるのに、資金が調達できないため仕事にかかれず倒産していきました。
そこで工事を引き受けて仕事が行えれば3ヶ月後に入るだろう資金を担保に融資が受けられる仕組みをノンバンクが積極的に行うようになり、必要な先にお金が回るようになっていきました。これが景気回復のきっかけのひとつです。この将来はいるだろう売上金を担保にお金を貸し付ける仕組みが証券化です。
その証券化が内容を問わず、今は悪役になっています。そして時代が逆回りしそうです。再び、担保がしっかり取れる先ではないとお金を貸さない、貸せない時代にはいると、この先健全な企業まで資金繰りに窮するところが多く出そうです。
証券化が全て悪いわけではありません。せっかくできた証券化の道です。そのためには、担保価値を見極めて割安になった証券化商品に投資できる投資家の存在が求められます。
日本の不動産市況が底入れしたのは、銀行が見放した割安な不動産を外資系金融機関が自分たちの投資モノサシを持ち込んで、積極的に買い漁ったことがきっかけです。今回もまた、外国人頼みになるのでしょうか?長銀を安値で買って、高値で売ったリップルウッドホールディングスに「儲けすぎ」と轟々の非難が起こりました。割安な水準であれば、今度は先頭に立って投資を開始する気概を持った国内金融機関は現れるのでしょうか。
金融の目詰まりは米国だけの問題ではありません。政府・日銀の対策、対応は十分なのでしょうか。しばらくしてから、「国内でも金融の目詰まりの影響が出始めているようです。政府としては資金の必要な先にお金が回るように関係各所に声掛けをしています」なんていうコメントを他人事のように出すことにはならないかと心配です。
景気停滞感に加えて、金融の目詰まりが起きたら、民間の努力だけでは限界があります。