「お父さん、トイレットペーパーやティッシュペーパー、買いだめしておいた方がいいかなあ」と、うちの嫁さんが、最近の物価動向を気にするようになりました。
「う〜ん?」と気のない生返事をしていると、「そんなことで人の相談に乗れるの?」と、嫁さんの頭はヒートアップ中。最近は嫁さんとの会話も、気の抜けない状態です。それぐらい、物価上昇は私たち庶民の生活にも身近なものになっています。
贅沢品の価格が上がっても、買わないで我慢すればいい話で、他に代用がきかないわけでもありません。しかし、日用品は買わないで我慢するわけにもいきませんし、他で代用するにも限界があります。ひとつ、ひとつの金額は大したことはありませんが、毎日となると負担になりますし、何より、全ての物価にじわりと影響がでます。
家の値段や、宝石や高級車の値段が上がって、それが買えなくなったとしても、手頃な価格のものを選ぶことになり、消費の火が消えることはありません。
しかし日用品等必需品の値段が上がり出すと、将来を不安に思う人が増えて、財布のひもがキュッと締まります。個人消費が一旦冷え込むと、相当先行きに安心感が出ないと、再び財布のひもが緩むことはありません。そして、ついに在庫の負担に耐えきれず、新たに生産する意欲も失せ、設備投資の熱まで奪われてしまいます。個人消費が消え、設備投資が消え、日本は暗黒の経済停滞を90年代初頭から10年以上も経験しました。
個人の財布のひもが締まる傾向にあるときに、インフレが今後もドンドコ続くとは個人的には思えません。個人の消費を見つめる目がドンドン厳しくなる中で、本物が問われる時代に入ったと思います。勢いや流れに乗っただけのものや、まがい物は淘汰されていくと思います。