今月の視点 2021年12月

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2022年寅年は1ドル=120円台もあり得る

  • 寅年ドル相場は為替変動が大きい

2022年の寅年はどんな投資環境になるのでしょうか? 干支で相場の動きを示唆する格言があります。

子(ねずみ)繁盛、丑(うし)つまづき、寅(とら)千里を走り、卯(う)跳ねる。辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり、未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ、戌(いぬ)笑い、亥(い)固まる。

「寅千里を走る」は、快進撃で上昇するというのではなく、行ったり来たりを繰り返す往来相場のことです。過去の寅年相場には、共通する点がいくつかあります。子繁盛、丑つまづく。寅年の前に株価が高値から大きく下落していて、為替が大きく動いたことです。

前回2010年の寅年ですが、08年の金融危機で日経平均株価は、07年7月の高値18000円程度から09年3月の7000円程度まで大きく値下がりしました。そして2010年には1ドル=80円程度まで円高が進行しました。

前々回1998年には、アジア新興国の成長が顕著だった97年に、タイをきっかけにしたアジア通貨危機が発生し、97年7月の20000円から98年8月に14000円まで値下がりし、このときは逆に、1ドル=146円45銭まで円安が進行しました。

では、2022年寅年はどうなるのか。20年初頭の高値から新型コロナの感染拡大をきっかけに、株価はいったん大きく値下がりしました(現在は高値を回復しています)。為替相場はこれまでのところ、財政出動を支えにした景気回復に伴う米国金利上昇とインフレ懸念を背景に、ジリジリと円安ドル高が進行し、1ドル=115円台を4年8ヶ月ぶりにつけてきました。ここから更なる円安ドル高の進行はあり得るのでしょうか。

 

  • 円の独歩安になる可能性も

マーケットでは、バイデン米大統領が連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の再任を決めたのを機に、「テーパリングの終了時期は22年半ば、その後、22年末までに利上げを2回以上行う」といった見方も出てきて、米長期金利に上昇圧力がかかっています。最近では金融政策に敏感に反応する2年米国債・5年米国債の利回りが強含んできました。米金利の上昇は投資家に米金融政策の正常化を印象付け、ドル買い意欲を刺激します。

さらに以下の2つの理由で、2022年寅年のドル為替は、今後もジリジリと円安が進行し、「112~117円」のレンジ相場を抜けて、年後半には1ドル=120円を目指して勢いが加速していくと私は想定しています。

第一に、各国政府の財政出動に伴う債務が現実的な返済能力を超えて積み上がり、債務不履行(デフォルト)リスクが高まってきました。信用リスクの高い発行体の資金調達金利は上昇し、特にドル資金の調達が困難になることで、需要の高まりからドル高が進行しやすくなります。

第二に、マーケットが年央に向けてFRBの利上げの動きに神経を使う環境に加えて、過渡期に伴う2つのインフレ要因が同時進行しているからです。2つとは、無人化・省力化を促進する新技術導入と、化石燃料依存からの脱却です。

パンデミックの発生や人手不足による供給ショックの課題解決のために、主要産業ではAI・5G・自動運転など新技術の積極的な導入を計り、政府はこれを後押ししていますが、実用化には時間がかかります。現状では従来からの人手に頼らざるを得ず、当面は人手不足による賃金上昇が起こりやすくなります。

また、気候変動に対する懸念からクリーンエネルギー化を推進し、石炭・石油など化石燃料への投資を抑制する流れにはあるものの、電力不足による工場稼働停止やエネルギー価格の高騰から化石燃料に頼らざるを得ない過渡期にあり、今後も供給不足による資源価格の高止まりが続く可能性があります。いずれもインフレ懸念を助長する要因です。

加えて、米国を始めとする他国が金融の正常化に取り組む一方で、国内でのインフレ圧力が弱い日本では金融緩和の出口がいつまでも見通せず、ゼロ金利で放置された円は売られやすい通貨となり、ドルの独歩高から円の独歩安に転換する可能性もあります。そうなると行き過ぎた円安に進んで、1ドル=120円台への進行もあり得るでしょう。

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