本日の日経朝刊の記事で、あるファンドマネージャーのつぶやきが載っていました。「誰もセントレックスの上場企業に投資しなくなるのでは」と。上場後の業績下方修正などで、株価が低迷する企業が名古屋証券取引所のセントレックスに多く、上場審査の甘さが問題視されています。
以前、日経新聞の広告でたびたび一面を使って宣伝された金融商品が元本割れして投資家被害が発生した時に、日経新聞に対して「おたくが一面広告で取り上げた金融商品だから安心して投資したのに」という苦情電話が殺到したと聞いたことがあります。
「広告記事にした商品内容まで精査していません」という答えに、投資家は更に激怒したと聞きました。実際、このようなやり取りがあったかは定かではありませんが、この投資家が考えたように、日経新聞で広告されているものは日経新聞が十分に精査したうえで載せているものという期待は、どの読者にもあるはずです。
でなければ、三流雑誌の広告も日経新聞の広告も、両方とも怪しい、疑いの目で見なければならなくなります。
同様に、取引所の上場審査を経て上場した企業が「まがいもの」であるかどうかを、明らかに取引所よりも情報が少ない投資家に自己責任を負わせていいはずがありません。
非常に気になるのは、最近各取引所はETF(上場投資信託)の品揃え拡充に積極的ですが、品揃え、上場数を増やすことが取引所が期待された役割なのでしょうか。
これは金融機関全般にも当てはまります。投資家、預貯金者は、品揃えの充実を求めているのでしょうか?「何にしたらわからない」という声はたくさんありますが、「こんな品揃えが少ないと選べない」という声がそれほどあるのでしょうか?よしんば、品揃えの充実を求める声があったとしましょう。しかし、「何にしたらわからない」という投資家の声に十分応えているのでしょうか?
品揃えよりも、投資家の悩みや不安に答える体制整備のほうが先だと思います。
学校教育で習う機会もない投資。リスクといっても実感できない人に対しての案内が「当社には他には負けない品揃えを準備しました。お好きなものをお取りください。自己責任で」という方法でOKと考えているのであれば世間の常識とずれていると思います。