「誰が見ても割安。買いです」と言えない株式専門家??

 おかしいぐらい最近の株式専門家のコメントは慎重になってきました。18000円も買い、17000円も当然買い、16000円は絶対買い、15000円えっ?、14000円えっ、ええっ?13000円・・・(無言・・・)。そして今、「割安だけど、まだ底は見えず。チャート面では10年の移動平均線に乗っかってきたけど。ここを切ったら・・・。次の下げメドは何年の移動平均線を参考にしたらいいのかなあ?」と、チャーチストまで弱気。
 昨日は米ドルは2年8ヶ月ぶりの円高水準、104円台をニューヨーク市場でつけたあと、東京市場は107円手前の円安で戻ってきました。私の現在の見方ですが、米ドルでいえば112円が誰にも迷惑をかけることのない妥当な水準だと思っています。107円から110円の為替水準はいつもどってもおかしくない水準。したがって、円高が進行して102円程度の円高はいつ起こってもおかしくないですが、107円〜110円にはいずれ戻ると考えれば、107円以上の円高は、円高を怖れて投資できない水準ではないと考えています。
 たとえば105円を割ったら米ドル投資をしようと考えていた人も、東京マーケットでしか投資できる手段を持たない人は投資できませんし、寝ていたり、用事をしていたりで、その機会をとらえられなかった人もいます。結局104円台では投資できず、107円に戻ってしまい、ちょっとがっかり。
 同様に「日経平均株価の13000円の水準は割安で将来少なくても16000円はあるかも」と思っている人が12000円程度になったら投資したいと思って見ていても、いざそのときになったら投資するのが怖くなったり、もっと下がると様子を見たり、たまたまそのときに留守をしていて物理的に買えなかったり、有り得ると思います。結果買うのに悩んでいたり、留守にしていたりで買えないうちに、15000円程度まで戻ってしまうと、決めていたはずなのに買えなかったことを引きずり、後悔の念だけ残してしまいます。
 よく言われていますが、株価が1年で倍になるケースでは、継続的に株価がなだらかに上昇するのではなく、大きく急落し割安で放置された状況から急反騰する、わずか2、3週間程度で4割程度値上がりしてしまい、その後はその都度割高、割安を吟味されて上昇。結果株価が倍になったりします。つまり、大きく急落から反騰する2.3週間を見逃すと、その後のパフォーマンスは同じ株式に投資していても大きく異なり、ただ「1年で株価が2倍になった銘柄に投資した人」だけになります。
 申し上げたいのは、大きく急落して反騰するポイントをとらえる芸当はできません。しかし、その近辺で投資することは、気の持ちようで可能になることです。せっかくのこの急落相場。こんな相場は3,4年に1回。ここからの一段下げがあれば、10年に1回の機会かも知れません。
 アメリカの10年国債の利回りが3.5%程度まで下がりました。なんと日本を代表する優良企業の株式の配当利回りで、これを超えるものが目立ってきたわけです。為替リスクが無く、株式の値上がり益がもしかしたら期待できる。日本市場に外人が興味がないのは分かりますが、何故日本人が興味を持てないのでしょうか?日本株が買えない理由は何ですか?何と比較して割高なのですか?預金ですか?国債ですか?外債ですか?不動産ですか?
 相場の底がいくらなのか、いつなのか、を当てようとする気持ちはとうの昔に捨てました。決して、みなさんに「日本株を買え」と説得するつもりは毛頭ありません。ここでお伝えしたいのは、投資は自分の問題です。他人はあなたほどあなたの資産に対して真剣に考えてはくれません。他人の意見は参考でしかありません。他人の考えは自分の判断を助けるために聞くものであり、人を頼り切ってはいつまでたっても納得いく投資はできません。投資で気持ちが振り回されるこんなときこそ、まず「自分はどうしたいのか」、「そのためにどんな方法があるのか」、「そして今何をすべきなのか」を自分の中で整理することが必要です。その整理のために、人の話を聞くことは有意義だと思います。くれぐれも、人の意見に振り回されないように。