今月の視点 2023年7月

想定し準備をして投資チャンスを迎えに行く

●金融引き締めの長期化を前提に

円ドル為替は2023年に入ってから一時1ドル128円程度まで円高に振れた後、再び1ドル143円40銭(6月26日現在)と円安の展開になってきました。円安ドル高の主要因は、景気後退よりもインフレ抑制を重視して政策金利を大幅に引き上げてきた米FRB(連邦準備制度理事会)と、経済活性化のために政策金利を低く保つ「金融緩和」を続けてきた日銀との政策の違いにあります。

そして、日本に先行して政策金利を連続して引き上げてきた先進主要国では、「金利を引き上げてもインフレを退治するには相当な時間を要する」と、引き締め策長期化の弊害を懸念する見方も広がってきました。

しかしながら6月、FRBはFOMC(連邦公開市場委員会)で政策金利を据え置く一方、経済データ次第での年内追加利上げを示唆、欧州中央銀行(ECB)は8会合連続で政策金利を引き上げ、利上げの一時停止は考えていないようで、7月も利上げを継続する可能性が高いと見られています。また、早々に政策金利の据え置きを宣言し実行したカナダは6月に、さらにはオーストラリアも5月に利上げを再開。英国は6月、利上げ幅を0.5%に再拡大しています。

このように、先行して政策金利を引き上げてきた主要国中央銀行と日銀とのスタンスの乖離がさらに拡大しており、昨年10月1ドル150円だった時と現在とを比較すると、円はドルだけでなく、ほとんどの通貨に対してかなり安くなる独歩安の状態と言えるでしょう。

 

22年10月

23年6月
ドル

150.14

143.40

豪ドル

94.27

95.81

英ポンド

168.77

182.54

ユーロ

146.88

156.47

加ドル

109.06

109.05

(単位:円)

今年初めの予想では、年後半に米国は景気後退に入り、政策金利引き上げに打ち止め感が広がって市場金利は低下、為替相場は年末にはドル高からドル安へと転換して1ドル120円程度になるとの見方がありました。しかし今は、各国中銀の金融引き締め策が長期化するという前提で、今後に備えたほうが良いと思います。先行きを占うのは困難ですが、見通しを立てて準備しておくと慌てることが少なくなります。

私は、米10年国債利回りとドル為替との関係を見て、今後の金利・為替環境の展開を予想しています。米10年国債利回りが3%の時は1ドル130円、4.0%の時は140円といった具合です。すなわち、現在の米10年国債利回り3.8%の場合は1ドル138円が妥当。これを是とすれば、現在143円のドルは買われ過ぎで、いつ138円の円高になってもおかしくない。逆に、1ドル143円を是とすれば、米10年国債利回りの3.8%は低過ぎ、いつ4.3%に上昇してもおかしくないと考えます。

そこで私は、年内、FRBが政策金利を引き下げる金融緩和を行わないことを前提に置けば、米10年国債利回りが3%まで低下することはなく、したがって1ドル130円を大きく割り込む円高・ドル安もない。むしろ、米10年国債利回りは金融引き締めの長期化懸念から昨年10月に付けた4.2%まで上昇する可能性があると想定します。そして、この金利上昇は米景気の後退懸念を深め、高値警戒感がある株式相場の急落につながるかも知れず、金利負担に耐えきれないで破綻する米企業が増えるかも知れません。 ●投資チャンスを準備して待つ

こういう想定が当たるかどうかはともかく、そうなった時にどのように対応するかをあらかじめ準備して待つことが大事です。そうでないとせっかくの投資機会を見過ごしてしまいます。

例えば、33年ぶりに高値を更新した日経平均株価で考えてみましょう。日本株上昇の腰を折る要因だった円高ですが、当面、1ドル130円を大きく割り込むことがないならば、米国など海外に比べて金利負担に困る企業が少なく、大きく崩れることがなさそうな日本株は魅力ある投資対象。海外株の急落等で連れ安して3万円程度の水準まで下落する機会があればチャンスだと思います。

ただし、大きく値下がりしないということは、ここからの大きな値上がりも期待しにくいので、現時点で株式投資を考えるのなら、急落後の大きな値上がり益が期待できそうな米国株など世界株式での積立投資をお勧めします。