預金・為替業務を行わない金融業者をノンバンクといいます。事業者向け金融、リース、ベンチャーキャピタルなどがそうです。2002年、2003年の国内経済・金融がどん底の時に、このノンバンクが金融で果たした役割は大きかったと思います。
確かに金利は銀行よりも高いですが、銀行が貸しはがしをしたり、融資に躊躇しているような担保が十分でない先に対して、どんな点に注目したらお金を貸す大義名分が見つかるのだろうかと一生懸命知恵を絞って、貸す努力をしていました。
不動産担保が無くても、ここに運転資金さえ用意すれば、2,3ヶ月先に入る売り上げで十分返済できる先。それだったら、将来の売り上げ、売掛金を担保に融資しよう。そこの製品の裏付けになっている特許を担保にしよう。使用している機械や車を担保にしよう。その会社の信用である暖簾(のれん)を担保にしよう。そこで働いている技術者の資格を担保にしよう。などなど。
そこには金融のプロとして、貸し倒れがなくリスクに見合った金利を提示し、資金があれば正常に活動可能な先に必要な資金をタイムリーに貸し出すという姿勢がありました。その手法として、従来の不動産担保に変わる証券化が工夫されて広まっていきました。証券化自体が悪いわけではありません。
今いろいろな問題が山積していて、あれもこれも目移りをしてしまいますが、一番大事なことは、「健全で善良な人がお金を必要としているにもかかわらず、届いていないケースはないのか」、「そのケースは何故起こっているのか」、「課題解決に向けてすでに動いているのか」のチェックが必要だと思います。
「証券化商品はうさんくさい」で、今まで貸せただろう先にお金が回らなくなり、金融機関の貸し倒れ発生が続き、金融機関の新規貸出意欲が弱まり、金融庁から実態調査を迫られ、既存貸出先から用心のために引き上げる。
このままでは金融機関がお金が必要な健全なところにも貸し出すことを躊躇する、いわゆる「金融の目詰まり」に入るとば口に現在あると思います。非常に神経質な場面ではないでしょうか?
老齢者が寝たきり老齢者を介護。子供を抱えてのワーキングプア。被災地で将来に挫折した人々。厳冬の中でストーブをつけずふとんにくるまって過ごす人。燃料費高騰と荷主からの厳しいコストカットの要請を受けて赤字で走っている運送業者などなど。
その上、金融機関の貸しはがしに合う状況が目の前まで迫っている。個人ではどうにもならないことを救うのが政治であり、セーフティネットではないでしょうか?
「3月末の期限がどうやら」と言っている時期ではないと思います。危機感があるなら、まずできることからやりましょうよ。
目先のことをおいしい言葉ですべて先送り。せめて「最悪、どこまで覚悟したら先が見えるのか」を知りたいものです。それが日本が自立するスタートだと思います。
いつまでも、米国、欧州、近隣アジア頼みから抜け出せず、いつになったら一目を置かれる存在に日本は変われるのでしょうか?
先日、「20年後の日本をイメージしてコメント下さい」という依頼を受けて困りました。前川個人の20年後のイメージは語れますが、「日本は?」と聞かれて詰まってしまいました。