日米協調介入の裏側~「米国の本音」は日本は9月に利上げをすべきだ

日米の協調為替介入の裏側

先週末(7月31日〜8月1日)、金融市場を揺るがす歴史的なイベントが起きました。
日本政府・日銀および米財務省(ベッセント長官・NY連銀)が日米協調で円買い介入」を実施し、一時164円台半ばまで突進していたドル円は、一気に157円台へと急落しました。
メディアでは「日米が為替協調介入に踏み切り、本気度を示した」と華々しく報じられています。しかし、一歩踏み込んでその裏にある「構造」を読み解くと、投資家が認識すべきポイントがあります。

①協調介入の意義

今回のポイントは、日本単独ではなく、米国の協力を取り付けた協調介入であったことです。裏を返せば、米国が協力するほど、現在の日本は危うい状況にあったということです。放置すれば、英国で起きた「トラス・ショック」のように、日本国債と円が同時に売られ、「世界最大の米国債保有国が揺らげば、米国市場にも連鎖破綻が伝播しかねない」というレベルのリスクを米国が懸念していた可能性があります。
つまり、今回の協調介入は、「日本の長期金利上昇と円安進行が、もはや日本だけの問題ではなく米国の金融安定にも影響する」という危機感の共有が背景にあったと考えるべきです。

②米国の「円買い」はドルを売りではなくユーロを売り

さらに重要なのは、米国が実際売ったのはドルではなくユーロだったという事実です。
米国(NY連銀)は、「保有している割高なユーロを売って円を買う」というクロス取引でした。
米国は「自国通貨ドル安」を望んでいるわけではない、という事実です。
もし米国がドルを売却して一気にドル安が進行すると、輸入物価が跳ね上がり、米国内のインフレを進行させる自爆行為になります。
つまり米国は、「日本の要請」という大義名分を利用し、高値圏にあったユーロ資産を整理して安い円資産へのリバランスを行っただけとも言えます。
米国は自国の国益を損なってまで日本を救うわけがなく、今回の介入は米国にとってもメリットがある合理的な協力だったと思われます。

③今後の具体的措置

為替介入はあくまでも「時間稼ぎ」に過ぎません。
日米の「実質金利差」という根本的な問題を放置していては、マーケットは「ドル押し目買いの好機」と判断し、円安・ドル高へと再び向かいます。
日本が取るべき次の一手は明確です。
来月9月の金融政策決定会合で利上げを断行し、「インフレ抑制に向けて金利を引き上げていく」という確固たる姿勢を示すことです。
加えて、日銀だけに国債を買わせる構造を改め、機関投資家や個人が保有したい思える投資対象にするための環境づくり、日本国債の買い手を創出する措置を急ぐ必要があります。

米国から「日本の金利は低すぎる」と外圧をかけられた今。日本側にはもはや利上げを躊躇する余地はありません。