世界の主要国が金融危機の克服・回避で緊張して動いています。株式、為替、商品相場。どれもこれも、根拠もなく不安にあおられ、ムードに吹かれ頼りなく上下しています。私のところには、最近「米ドルは大丈夫か」、「預金は大丈夫か」という問い合わせが入り出しました。
毎日、毎日、テレビの番組では「危機だ、危機だ」と煽り立て、形、神妙な顔を作りながらコメントを繰り返します。投資を行っている人であれば、気丈に振る舞い、平静を装うにも、相当自分への励ましの言葉が必要な状態です。現状では、投資をしている特別な人から、普通の預金者まで無用な不安を強いる情報があふれています。これらの国民の不安が広がらないように、目に見える対応すべき時なのに、「何故、衆院選の日程」が政治家の関心事になってしまうのか。
主要国のいくつかでは、国民、預金者の不安を収めるために、個人向けの預金全額保護を宣言する国が出始めました。この処置が適切かどうかは議論の余地があるとして、世界で協調して、この金融危機を克服しようと宣言した中で、どう見ても日本だけは別行動になっているように見えます。お金は世界を巡ります。日本だけ預金の全額保護をしていない状況になれば、少なからず安全、安心を手に入れたい資金は他に逃げていくでしょうし、逃げていこうとするでしょう。もし各国との連絡を取り合い、日本が敢えて「預金全額保護」をしないという結論を出したのであれば、国民にその根拠を丁寧にすべきでしょう。何故、日本は預金の全額保護までしなくてよいのか。
「日本の政権は選挙前の暫定政権だし、選挙で頭がいっぱいな連中に真剣に話し合う時間が無駄。お金だけ出してくれればいい」と、他の主要国から、当てにされず、甘く見られている、頼りない存在になってしまっていないのでしょうか。
今は円の独歩高ですが、それは日本の実力が評価された証ではありません。いたずらに円高に振れれば、いずれ「えーっ、何で円安にィ??」と通貨円がボロ株の株価のようにおもちゃにされかねません。株価が低迷し、安くなった通貨円の時に、外資にパックリ食われてしまうのです。
現在は、円高で現金を抱えた国、世界に対して有利な立場にあるはずの国、「日本」がプレゼンスを高める絶好の機会のはずです。今朝の一面記事を見て、がっかりしました。