「業績がよい会社だから株価が高くて当たり前」。「日本と海外との金利差がこんなにあるなら円安になるのは当たり前」。こんなことをよく聞きます。一方で「こんなに良い決算なのに、何故株が上がらない。何故下がる」。「以前に比べて金利差が縮まっているのに何故円安になる。何故円高にならない」という話しも聞きます。
「業績がよい会社だから株価が高くなる」という見方もできますし、「業績が良かったから株価が高い」という見方もできます。「業績がよい」という理由で株価が上がるなら、株価は際限なく上がります。業績に見合った株価というものがあり、それ以上の業績が見込めるものは更に買われ、業績好調を織り込んでしまった株価はいずれ下がります。
したがって、「サブプライム問題の解決が見えないから株価はまだ下がる」だけの見方ではなく、「サブプライム問題の解決が見ないから、株価が下がってきた」という見方もあります。決算発表で「サブプライム問題に意外に足を引っ張られて」と業績の下方修正を弁明する企業がありますが、そんな企業の株式に投資しようとは思いません。本当にそれだけなのでしょうか?株価はサブプライム問題が深刻化する前から天井をつけて良いところ無しです。バブルに浮かれていたとしか言いようがなく、サブプライム問題でごまかしてはいけないと思います。
「米国金利は急速に低下し、内外金利差縮小で円安基調は転換か」という話もよく聞くようになりました。私は将来結局、円は米ドルに対して安くなると見る円安論者の一人です。しかし、その私でも昨年の1ドル=122円はさすがに行き過ぎだと思いました。その当時「日米金利差が3%を超えて推移する状態が続けば、円安は更に進む」という見方が大勢でした。「内外金利差が大きければどこまでも円安になるのか。金利差がついていたから、ここまで円安に向かう進行が速かったのではないか」と私は更なる円安進行には懐疑的に見ていました。
今回は逆の局面にあると私は見ています。「急速に日米金利差が縮小したから、ここまでの円高進行が促進された」。米国10年国債利回り3.6%は、どう考えても割高です。こんな低金利の水準で日本人が為替リスクを抱えて投資する意味は全くないと考えます。日本の10年国債利回りと米国10年国債利回りは、長らく3%の金利差がありました。現在日本の10年国債利回りは1.45%。米国10年国債利回りの3.6%を是とすれば、日本の10年国債利回りは0.6%。株式配当利回りが2%の時代に、10年国債の0.6%に誰が魅力を感じるでしょうか?少なくても日本人は。
それぐらい現在の米国10年国債の利回りは、日本の10年国債利回り、日本株式の配当利回りと比べて割高だと私は思います。したがって、近い将来米国10年国債利回りは妥当金利を目指して上昇するでしょう。金利の上昇期待は日米金利差拡大期待に変わり、行き過ぎた円高が修正される形で円安基調に戻ると私は見ています。つまり現在は、米国金利に魅力がなく割安に放置されている米ドル為替を取得するチャンスだと思っているわけです。実際はどうなるでしょうか。
株価変動が業績に影響を与えるのではなく、業績動向が株価に影響を与えるものだと思います。同様に為替変動が金利に影響を与えるのではなく、金利動向が為替に影響を与えるものだと思います。最近の「円高・株安の流れは当たり前」という見方に、「変」って感じている自分がいます。