これは本当に驚きです。ゴールドマンサックス、モルガンスタンレーという、老舗で看板ピカピカの証券会社が、銀行持ち株会社の下にぶら下がり、ついに米国から証券専業大手が消えました。
そして米証券取引委員会(SEC)の監督下からFRBの監督下に入ることになります。これにより、緊急の金繰りに関しては、FRBから直接資金提供を受けやすくなりました。まさか、ここまでくるとは1年前に誰が予想したでしょう。
リーマンブラザースの破綻が当時の山一證券、AIGグループの救済が当時の生命保険会社、今回の証券専業大手の淘汰は当時の長期信用銀行の淘汰とダブルような気がします。
そして、そのモルガンスタンレーに、三菱UFJフィナンシャル・グループが出資すると発表しました。元気な頃のモルガンスタンレーであれば、こんな話が向こうからくるはずもありません。向こうから請われて、投資する機会となった三菱UFJグループとしてはいい話だと思いました。こちらは出資です。つまり三菱UFJが株主として投資する話しです。
野村証券がリーマンのアジア部門を買収で合意という話しも出ています。運用会社が評判の良かった運用会社を買収して更に強固な体制を築こうしますが、大抵は評判の良い会社を活かしきれず成功しません。野村證券は活かせるのでしょうか?こちらは、今後を見ないと評価できないですね。可哀想なのは麻生新総裁誕生。冷めた船出となりました。野村證券と同様に、お手並み拝見となっています。「トップの顔変えただけで何が変わるの?何ができるの?」という厳しい目からのスタートです。
これでもか、これでもかと、新しい手が打たれる中、市場・相場は資金の出入りに翻弄され、特に原油価格、金価格といった本来想定した範囲を大きく超えた値動きになっています。ここまで動くと、まともな投資家の投資対象にはなりません。ますます参加者が絞られていく中で、出来高が細り、流動性リスクを嫌い、更に参加者が減っていく悪循環にはまっていきそうな気がします。
もともとの本質は株式と債券などとは異なる動きによって資産価値の振れを小さくする分散効果が期待された対象であったはず。そういう大義名分を持って投資対象に選ばれたはず。このままでは、大義名分の趣旨からはずれたものとして、市場退出する参加者は今後も増えていくと私は思います。