昨日は金(ゴールド)、原油などの商品価格が急落し、サブプライム問題に端を発した信用収縮の深刻化がさらに進み、投機・投資資金の絶対量自体が減っているようです。毎日のように、米国FRBは緊急かつ機動的に、実のある対応が求められ、その要請に応えなければというFRBの危機感も伝わってきます。
グローバル経済になって、自国の努力だけでは解決しない、解決できない問題が山積する中で、日本の政治の混乱、そして日銀の機能不全は、各国主要国の金融・経済の責任ある立場の人にとっては、日本は経済規模だけは大きいので存在を無視することはできず、しかし当てに出来ない現在の状況においては、かえって迷惑で邪魔な存在ではないでしょうか?日本は今胸を張って世界に対して貢献の立場で提言していることがあるのでしょうか?海外から見て「日本の立場も理解できる」と共鳴する部分があるのでしょうか?
本日私がたまげたのは、テレビ東京モーニングサテライトのゲストトークで、内閣参事官が今回の日銀人事混乱についてコメントした内容です。以下がその内容です。
Q.日銀総裁はそもそもなぜこのような状況になってしまったのですか?
A.財務省、大蔵省人事をそのまま外に出してしまったような印象を受けます。財務省の中で国内主流派という人たちがそのまま日銀総裁につくということをやってきました。
Q.日銀の業務などにも差し障りが出てくるのでは?
A.日本政府としては大きな打撃です。業務という観点でいけば市場はすぐ織り込みますので、それほど大きな問題にはならないと思います。日本銀行の総裁をきちんと決めることが重要ですので、目先の1週間、1ヵ月は重要な人を決めるために我慢して頂くしかないと思います。
Q.問題はないと見ていいのですか?
A.問題はあります。ありますが、日本銀行は今まで良い政策をしてきませんでした。これから1週間、2週間いなくとも今後5年間を考えれば仕方ないと思うしかないです。
Q.日銀の役割は「物価の安定」だけなのですか?
A.法律上は物価の安定と金融システムです。金融システムの話は金融庁が仕事をしますので、日本銀行は物価の安定のみに注力して頂ければと思います。総裁を選ぶ時に目標をしっかり決めれば、誰が執行しても良いとも言えます。
日銀総裁は総裁を選ぶときに目標を決めれば、本当に誰が執行しても日銀総裁の役割が果たせるのでしょうか?日銀総裁と米国のFRB議長とは違う仕事なのでしょうか?バーナンキ議長は、金融・経済の機能不全を回避しようと、あらゆるリスクに対して機敏な対応を求められています。一挙手一投足に世界が注目し、どんな対応をしても、すぐには効果が出るものではありませんから、その都度「遅い、十分ではない」とか、「早い、思慮が足りない」とか、必ず非難を受ける立場に立たされがちです。それでも、金融・経済はおかまいなしに動きますから、中央銀行総裁は次を考えて動かなければならない、専門性が高く、激務な仕事だと私は思います。内閣を支える立場の人間がこんな考えを持っているのであれば、今回の日銀人事の対応に危機感がないのもうなずけます。
日銀総裁・副総裁を日銀・財務相の天下り先として問題視する意見の趣旨はわかりますが、それを今の段階で問題にして日銀人事を混乱させたのは政治の責任です。「この1週間、2週間いなくても今後の5年間を考えたら仕方ない」という問題意識を強く持っていたのであれば、何故こんなに日銀・日本政府の信頼を傷つけるまでの混乱に発展させるまで放って置いたのか?こんな軽々しく評論家のようにコメントする神経を疑います。他人事??
誰がなっても同じ日銀総裁であっては困りますし、誰がなっても同じと思っている人が日銀総裁になってもらっても困ります。投資の世界で生きている人間としては、誰がなっても大差がない大臣と日銀総裁を一緒に考えられたら堪りません。世界は「誰が日銀総裁になるか」に注目はしますが、誰が大臣になるかを注目している人はほとんどいないでしょう。
さんざんもめて、日銀総裁のなり手がいないから「白川副総裁を総裁に昇格させたら」という意見があるようですが、それってあまりにも場当たり的で無責任じゃありません?あきれてしまいます。