危機感の違いがありあり!!

 米国政府と日本政府。何も決められない日本政府と比べると、大統領選挙を控えて政策に自由度が少なく、残りわずかな任期しかない米国政府が非常に頼もしく思えます。サブプライム問題で市場に広がる懸念を払拭しようと、「実の効果は期待できない」と前向きに評価しない人が多い中で、毎日のように対策の新しいアイディアを提示しています。危機に対する感知能力と行動力の差でしょうか?
 米政府は、市場実勢価格が担保価値を下回る「担保割れ物件」を保有する人を対象に、国が借り換え前のローンの80〜85%を債務保証する新たな対策を打ち出したようです。借り換えが困難になり、借り手が破綻しないように救済する趣旨です。金融機関の貸しはがしによる信用収縮がこれ以上加速しないように、一番元になる借り手の破綻に歯止めをかけること。逆に言えば、このまま破綻懸念を放置すれば更に深刻な事態が次々発生することが誰の目にも明らかだという危機感が政府・中央銀行、市場で共有されている現れでしょう。
 これまでは買い手不在で、優良不動産も玉石混淆で値を下げていましたが、そろそろ余りにも割安になった物件には物色する動きが出始めたと聞きます。それでも現在はまだ圧倒的に買い手が少ないですから、「ここまで値段が下りてきたら少し買うよ」的な買えればよしの対応ですが、相当下がった値段であったとしても、売ろうと思えば売れる値段が固まってくると、売り手は「最悪ここまでの価格を覚悟すれば買い手はみつかる」という水準が読めて気持ちが楽になってきます。
 買い手も無茶な低い値段を提示せず、買えるだろう値段での提示が増えてきます。
 今週は3月という特殊な月のしかも月末に絡む週。もちろん目先の相場の上下はわかりませんが、米国のサブプライム問題の最悪期は見えてきたのではないでしょうか?
ニューヨークダウは昨年高値から約15%しか下げていません。日経平均株価が約30%も下げているのに。サブプライム関連損失で早めに膿を出そうと懸命な米国の方が、日本よりも健全な方向にあるという証のようにも思えます。
  現在日本株は米国株式に連動しています。しかし米国株式が値を戻すときに日本株が追随せず安値で放置されることがなければよいのですが。非常に残念ですが、連れ高、連れ安ではなく、「日本株が評価され買われる」までにはしばらく時間がかかりそうです。
 安倍前首相、福田首相で強く埋め込まれた改革停滞、先祖返りのマイナスイメージは、日本をアジアの小国で存在感のないものにおとしめてしまいました。日本をプラスのイメージに変える秘策は「福田首相辞任。総選挙だ」という、一発ねらいの政策しか提示できない政治では国民を不安にさせるだけです。