先日、週刊エコノミストの「投資の達人」というマネー誌の取材を受けました。このマネー誌は株一本の話題で通しているそうです。さぞやこの投資環境で苦戦しているだろうと、「株一本では大変でしょう」と聞いたところ、「はい。しかし株以外の話を取り上げると読者の評判が良くないのです。当社の読者層は50代から70代の株式投資に精通された人が多く、よくありがちな「底値銘柄100選」とか「これが爆騰銘柄だ」的な記事ではなく、自分が今後の相場を予測ための今を検証し、今後を考えるための材料をこのマネー誌に求めているようです。したがって、読者層を広げようとFXやリートを取り上げたりしましたが不評でした。おそらく「おまえらの付焼刃な記事なんていらない」という反応なのだと思います」と話してくれました。
そのため、そういう読者が今後の相場を組み立てるに必要な記事を書き、満足してもらうのが大変でもありやりがいがあるというような話しを聞きました。
有望銘柄を挙げるのはある意味カンタンですが、何故それを抽出したのかを、全体の投資環境から絞っていく過程を大事にして案内することは難しく、手間のかかることです。大変だと思いました。
そして、そこが来月「割安」というタイトルで記事を書くということで取材に来られたのです。
さすがにこの環境になると、「日本株は割安」という専門家の数が少なくなったようで、私まで話す順番が回ってきました。みんなが強気になるときは買いやすい。みんなが弱気になると買いにくい。「みんなが弱気になるときは買い」というつもりはありません。しかし、「何故投資が必要だと思ったのか」という原点に戻って考えてもらいたいと思います。
「預金の低金利ではつまらない」、「円資産だけでは不安」、「投資の選択肢を増やして将来の投資に備えたい」などなど。その気持ちは今は失せてしまったのでしょうか。
「よし、投資だ」と考えたときと今の環境は新規に投資しようと考えた場合、割高な環境なのでしょうか。私は「こんなに割安な環境が来たのに投資に回せる余裕資金がない」と嘆く投資家は同情しますが、「もう投資なんてコリゴリ」と投資から目を背けようとしている人はもったいないと思います。今こそ、投資をするかしないかを楽しんで迷ったらよい時期だと思います。
できれば多くの人が週刊エコノミストの「投資の達人」読者のように、「おまえらの適当な銘柄推奨なんていらない。ただ世間の人がどう考えているのか、考え方だけ聞かせてくれればいい」という、投資にたくましい人を目指せればよいのですが。