現在の投資環境は、景気の先行きを見ても、金融、および政治の混乱を見ても、とてもこの先を強気には考えられない状況が続いています。投資家はみな多大な危機感を感じて情勢を戦々恐々と息を潜めて様子を見ています。最悪なのは、日本の政治にその危機感が伝わっていないことではないでしょうか。
「このまま国会が空転して何も決まらない混乱状態が続くのであれば、決して良い結果になるとは限らないし、むしろ更に混乱するかも知れないが、一縷の望みをかけて、ガラガラポンの総選挙で国民の信を問い、新たな打開の道を開く機会が必要なのではないか」と国民が考えるざるを得ないほど、国民は実生活で追い詰められています。政治の鈍感さに対する不満は国民が耐えられる限界点に来ていると言えるでしょう。
先が見えないから今後も株価は下がるのか?それとも、先が見えないから現在の株価まで下がってしまったのか?私は景気も後退、企業業績は停滞、個人消費は減退、政治は脳死状態、の今を写してこの株価にあるという後者の立場で日本株式の相場を見ています。何も期待しない、できない状態の株価が今だと考えています。
本当はこんな状態、すなわち「日本株式は安い、不動産リートは安い、新興国株式は安い、外貨投資は円高で割安」である状態の時に、「これからまだ日本株式は安くなるかも知れない。不動産リートもまだ安くなるかも知れない。新興国株式もまだ安くなるかも知れない」を納得の上で、資産分散型投信に取り組むチャンスなのだと思います。
今回の相場により「相場が割高なのはわかるけど投資しなくちゃいけない。だから分散投資の効いた投信の中から選ばなければならない」と資産分散型投信に投資するのは考えものだったという厳しい教訓を得たと思います。割高なときは分散投資で対処するのではなく、投資する額を減らすなど、リスクに慎重なスタンスで割安になる時を待つ対処がより大切だということです。
逆に現在のように「すぐに価値が上昇する投資環境でもないし、いつその時が来るかは定かではないけど、長期投資で安定した収益を期待できるチャンス」として、資産分散型投信は今こそ注目されるときです。資産分散型投信自体が金融商品として悪いものではありません。特に積み立て投資をいつか始めたいと考えていた人にとっては、良い時期が来たと私は思います。