先日紹介したシティーグループの個人向けサムライ債の条件が決定しました。サムライ債とは、外国にある企業などが日本において円建てで発行する債券です。つまり為替リスクがありません。
ついでに、どうでもいいことですが、外国にある企業などが日本において外貨建てで発行する債券を「ショーグン(将軍)債」と呼びます。外国人にとって日本の理解はやはり、「侍」、「将軍」がイメージしやすいのでしょうか。
条件は期間3年で年率2.66%。債券の格付けは格下げされる可能性もありますが、現在AA(ダブルエー)とほぼ日本国債と同格付けです。当初総額1000億円の発行で、年率は2.3%〜2.4%と聞いていたのですが、決まった条件は年率2.66%、総額1865億円発行すると発表しました。
銀行のキャンペーン定期の0.9%とか、1.0%がかすんでしまう利回りになりました。
正直、シティーグループの本気度を感じます。シティーグループは日本の個人投資家をターゲットに相当力を入れて資金を取り入れようとしています。今回は総額1865億円ですが、平成21年11月8日を期限として、日本で総額7500億円まで調達する枠を登録しています。つまり、この1865億円も前哨戦でしかありません。この期間3年、年率2.66%の売れ行きをモノサシにして、継続して発行してくるでしょう。他の欧米の金融機関も、こうしたサムライ債発行の動きに追随するのは必至です。
国内の企業で個人向けに社債を発行しようと考えていたところは気の毒です。シティーグループのサムライ債の条件を見たら、予定していた利率を上げざるを得ず、余計なことを苦々しく思っているところが多いでしょう。
個人向け国債5年固定金利型の年率1.22%という今回の募集条件も、この条件が出るまでは大分魅力的に映っていましたが迷う人も出るはずです。国内の金利体系にも影響を与えるでしょう。
これがもし売れ行き好調で品切れにでもなれば、シティーグループの思うつぼです。今後の発行を楽しみに待つ個人投資家をつかむことになります。次回からの発行を優位に運ぶことができます。シティーグループが四の五の言えぬ状態にあるからできるのかもしれませんが、このサムライ債の発行は今後の日本の個人投資家の金利観に大きな影響を与える大胆な試みだと思います。