先日紹介でお会いした人が、「何をやっても儲からない」とこぼしてました。昨年にそれまでやっていた事業を手放し、時間があるのでデイトレをしようと、ビルの一室に機械を揃え日本株式の投資を始めたとのこと。
私は個別株式の「売った、買った」の相談は受けていないし、もう何十年も株式投資をやっている方は人の意見を聞こうとしませんから、最初から「この方の期待には応えられないだろう。話を聞くことでお役に立とう」と腹を固めてお会いした次第です。
この方は確かに大きな単位で取引をしている人でした。経験は確かに長い方なのですが、株式投資の基本的な知識には欠けているように思いました。何よりも「儲かった。損した」に関心が向き、「株式投資で何を実現したいのか。どの程度のリターンを期待しているのか」が会話の中では見えてきませんでした。
最初は新興企業株式に投資した話をされていたので、「値動きの大きさを優先させて、内容を理解できていない新興企業株式への投資はいかがなものか」という話が必要なのかなと考えていたのですが、実際手がけている主体の銘柄は「出来高があり、換金性の高いもの」でした。しかも、本人は今農作業にいそしんでいて、株式投資は休止状態。「日経平均が1万円になったら買いたい」と様子を見ていることを知りました。この方は運のある人だったようです。お話を聞いていると、事業の展開も、不動産取得や株式投資のタイミングも、これまでうまくいっている、運があるようです。
ご本人は何度も「欲がなくなった。欲がなかった」と繰り返し、「前川さん。別に儲けなくてもいいんです。そんなに残しても仕方ないから」とうらやましいことを言われていました。私はご年配のこの方が、「投資を楽しむ」という関わりでお手伝いできればいいかな」というのがお会いした後に受けた感想です。
私は思うんです。投資は、誰にとってもどうしても必要なものだと思いません。説得されて、もしくは説得して、投資に関わっても、良い結果にはつながりません。勧めた方も、勧められた方も、それをきっかけにストレスを抱えてしまうことがよくあります。
やってもやらなくてもいい投資。せっかく、やる気になって取り組むなら、楽しんでやりたいものです。そのためには「投資を行うと何で苦しくなることが起こるのか」を前もって知り、「苦しくならないために、どんなふうに投資と付き合うか」という自分に合う投資スタイルを見つけていく繰り返しが必要だと思います。
本日日経記事に「米金融危機、家計どう対処」というテーマで、私を含めて4人の考えが載せられました。今、どうしたらよいかと悩む個人へのメッセージをそれぞれの視点で述べています。
私はその中で、?「今は長期で資産運用を考える個人にとって、じっくり時間をかけて投資戦略を練られる良い機会」、?「この局面で個人にやって欲しくないのは、『もう投資はやめる』と資産の全てを預貯金に移してしまう行動。投資環境が好転してからでないと投資しないというのは大きな収益機会逃してしまうことを認識すべき」、?「万が一に備えて換金性の低い金融商品を避けること」を上げました。
?はこの時期を投資する絶好の機会という認識を持っていますか
?はこの時期を投資に無関心に過ごして、将来投資チャンスを逃したと後悔する自分はいませんか
?この時期よりももっと割安な時期があったときに、売るに売れない金融商品にしていませんか
現在の環境では、この3つを大事にして、投資とつきあっていきたいと考えています。