長らく米ドル資産の受け皿となっていたユーロ資産でしたが、実力以上に期待され、価値が上昇した反動が出始めています。米国ばかりに目がいってますが、私は欧州が気になって仕方ないです。9月に入ってから欧州金融機関の救済、国有化の話が相次ぎ、急に目立ってきました。米国が現在直面している、重大で迅速な対応が求められる課題解決を、欧州自体も求められていく流れは必至です。非難はされていますが、欧州にはポールソン財務長官やバーナンキ議長のように、矢面に立ち政策を進めていこうという、欧州各国から信頼があり、実力を兼ね備えた人物がいるのでしょうか?本当に、寂しい限りの人材しかいない日本が現在震源地でないことを感謝します。
通貨米ドルの危機が叫ばれていますが、通貨ユーロはその危機が叫ばれている通貨米ドルよりも弱含む状態が続いています。欧州の金融危機の延焼を防ぐためにも、米国の金融危機回避のスタートに早く着くことが期待されます。
ところで、あんなに騒いだシティグループのサムライ債の募集が延期になりました。シティグループが募集期間終了後、米大手銀ワコビアを買収したため、「投資家が投資判断することが困難な状況になったため」というのが延期の理由です。
「そりゃあそうだけど、何かなあ」という印象です。投資家からお金を集めてから延期を決める。これはいただけませんねえ。だったら、リーマンショック後、社債の実質金利が上昇し、当初決定した利率と乖離が出て、申し込んだ投資家に対してヒアリングをした結果を受けての延期にすればよかったのにと思ってしまいます。「3150億円の大型募集をぶち上げておいて、結果こんだけしか集まらなかったのかあ」と言われたくないから延期したと見る人もいるでしょう。今回の起債の試みはミソをつけた結果になりました。
起債延期になりましたので申し上げますが、私は期間3年、利率3.22%のシティグループのサムライ債は投資する意味があったと思います。リーマンショック後、確かに社債の実質金利は上昇しました。もし今再募集をかけるのであれば、もっと高い金利で発行することになるでしょう。しかし延期となれば、延期した時期の実勢金利で再検討されます。それは今回の利率3.22%以上であるという保証はありません。そして、その発行は個人向けの発行ではないかもしれません。もっと付け加えれば、期間3年ではなく、もっと長い期間になるかも知れません。私はシティグループのネームで期間3年であれば償還満期は無事に迎えられるだろうと考えていました。
したがって、今回の条件はベストではないけど、現状での固定金利確定もの金融商品としては悪くないと判断したわけです。
米大手銀行ワコビヤの合併を延期の根拠としたシティグループは今後の起債は難しいですね。ワコビヤ合併後のシティグループの姿を投資家がイメージして投資判断が可能になるのはいつの日のことでしょうか?6月大成功したサムライ債の募集結果を台無しにしてしまったシティグループ。振り出しに戻るです。