企業年金の運用利回り低下で保守的な運用に??

 日経記事には、金融危機の直撃を受けて企業年金の運用利回りが一段と悪化し、企業の中には本業の業績に負担がかからないように、株式への資金拠出を見合わせたり、現金保有か債券へ配分して、これ以上の利回り悪化を防ごうとする動きがあると紹介しています。
 さらに相場環境が悪化すれば、年金の積み立て不足が膨らみ本業での穴埋めを余儀なくされた上、「運用のプロがこんなに損が膨らむまで何をしていたんだ」と非難されてはたまらないという心理が働くのも仕方ないと思います。しかし、一方で「こんなに円高で、株安になった環境を目の前にして、長期運用が目的の年金運用がなぜ確定運用に逃げ込むのか」と不満に思う人も多いはずです。
 
 「年金運用の利益は非課税」を前提にして、「そのまま企業年金を運用のプロを自称する機関にそのまま任せるも良し」、「個人口座に移し自分で運用するも良し」という選択を年ごとに個人で選択できるようにできないものでしょうか。
「プロに預けていてもこの程度の運用?」と不満に思う人のお金まで運用しているから不満が絶えないのではないでしょうか?「不満な人は自分で運用していただいて結構です。縁があったらまた依頼してください」と突き放したら、どんなことが起こるでしょうか。
 「本当は割安になった株式資産や外貨資産をもっと多く組み込むべきなんだけど、本業の業績に負担をかける恐れがあるから仕方ない」と、中長期的な投資の方向性よりも、目先の企業業績に重きを置かなければならないという企業年金であるなら、誰のための運用なのでしょうか。
 投資環境が良くなると、「なぜ運用をもっと積極的にやらなかったか」と非難され「イケイケドンドン」。投資実績が落ちてくると「なぜ運用のプロのくせに事前に分からなかったか」と非難され貝になり、確定利回り運用でしのぐ。運用者もお気の毒ですが、結果責任を負っている投資家も気の毒なのです。
 投資家が自分自身の年金資産の運用にもっと関与できる、「工夫して良かった」と投資家が喜ぶような関与のし甲斐のある方法を検討してもらいたいと思います。