なぜ株価が上昇したのか?なぜ円安になったのか?

 最近、情報番組のコメンテーターは「なぜ株価が上昇したのか?」「なぜ米ドル安ではなく、円安なのか?」という質問に、「まだまだ安心できる状況ではありませんが・・」と前置きをして、「なぜならば・・・」と整然とした説明を行う機会が増えてきました。
 もうとっくに、世界同時株安・ドル暴落に入り込んで、GW明けには再び金融危機が深刻化しているシナリオ(日経平均株価6000円割れ、米ドル60円)を描いていた人にとっては、この4月の相場の楽観ぶりは苦々しい動きだったと思います。
 急に強気になるのはどうかと思いますが、ムキに弱気をぶつのも大人げないと、ここにきて解説をせざるをえない状況に追い込まれたということでしょうか。
 日経平均株価9000円、1ドル=90円が現在ある妥当水準だとすれば、現在の日経平均株価9000円、1ドル=100円の水準をどう見るべきなのでしょうか。個人的には、「為替が先行して株価がついてくる」を前提にすれば、日経平均株価が1万円を目指す過程と考えています。もちろん、為替が円高基調に転換する事態になれば、株価の方向性も変わってきますが。
 本日の日経朝刊に、金融庁がFX業者に対して行き過ぎた手数料引き下げ競争に陥らないように警告し始めたという記事がありました。FX業者の多くは規模の小さい業者であり、行き過ぎた競争で採算を悪くし体力を弱め、最終的に投資家に迷惑をかける事態を懸念しています。
 これはFX業者だけではなく、インターネット専業証券会社にも言えることですし、手数料の低さで競い合っている金融機関全体が抱えている懸念になっています。
投資家の便宜性ではなく、金融機関が生き残るためにやむをえず行っている競争であれば、やがて限界が来て、投資家に迷惑をかける結果になるのは必然です。
 そろそろ手数料の安さだけで競うのではなく、多少の手数料の高さを容認してもらえる顧客サービスの質で競わなければならない、見直しの時期に入っているのではないでしょうか。
それには「うちは隣よりも手数料を高く取っていますが、いい仕事をしますよ」と宣言し、「なるほど、いい仕事をしている」という評価をもらえる努力が必要です。
「そんな程度の仕事なら、隣の安い手数料を選ぶ」という厳しい評価を受けて、さらに改善を試みる泥臭い努力が必要です。「手数料の安さ」で競うのは楽ですよね。「無料」ほど、顧客の気を引く魅力的な言葉はありませんよね。だけど、それではいい仕事ができるわけがありません。
 私の尊敬するコンサルタントは、「うちのコンサル料は世間的には安くないかも知れません。しかし、いただいた分の倍の価値のある仕事でお返ししたいと思います」と相談者に宣言します。
「うちの相談は無料です」という方とは、最初からハードルの高さが違います。
相談者にとっては、どっちが強い味方として期待できるのでしょうか?
もちろん、手数料が安くて仕事ができるのが一番良いのですが、「手数料は無料だけど仕事もそれなり」業者ばかりの状態は相談者にとっても不幸だと思います。
「いい仕事にはそれなりの対価を支払う用意がある」という投資家、それに応えようとサービスの質にこだわる業者の両方の存在が大きくならないと、なかなか手数料引き下げ競争に歯止めをかけるのは難しいでしょう。業者は玉砕、投資家は被害者という構図だけは避けたいものです。