日本企業の多くが過剰債務で困っていた時、老舗企業は古くから持つ土地の含み資産を根拠に、高く身売りしようと外資系に打診したところ、外人は日本人が言う含み資産の額を全く信用しなかったとのことです。
「そんなに価値があるものなら、売って現金化してから、相談に来てくれ」とけんもほろろだったそうです。
今年五月から、外資系会社が日本の企業を買収しやすくなり、その際には現金がなくても、株式の交換で買収が可能になるわけです。つまり社歴が余りない会社でも、株価が高くなり時価総額が大きければ、老舗の小型優良企業を簡単に買収できるようになります。これはある意味で、先ほどの逆ですね。老舗の優良企業からしてみれば、ムードで高くなった株価と地道に活動を続けてきた当社の株価を一緒にしてくれるなと、文句も言いたいところでしょう。
「そんなに価値があると言うなら、市場で売って現金にしてから来い」と。株価が高いのが偉いのか、悲痛な叫びが聞こえてきそうです。
とにかく今年は、株式交換でM&Aが可能になって、どんなことが起こるのか。目が離せません。
G7で「円安是正」の話は出ず、目先通貨円が最弱通貨から反転する可能性が小さくなりました。外人にとって、日本企業を割安に買うチャンスは続きます。