「場所が良いところにあるんです。常に借りたい人が見つかる場所です。希望があれば、私の会社で家賃保証もできます。こんなお買い得な物件滅多にでません。不動産は人の縁と同じ。良い縁にしましょう。どうですか?」。しつこい営業マンの押し売りに「そんなに自信あるなら自分で買ってみたら」と言ってやりたくなったことはありますよね。
もしかしたら家賃収入を安定して期待できる物件であることは本当の話かも知れません。でも何故彼は自分で買わないのか。それは物件を保有することで、物件の値下がりリスクを負いたくないからかも知れません。家賃月15万円が3年入ってきても(=15万円×12ヶ月×3年=540万円)、3年後処分するときに1000万円物件が値下がりして売却することになっては不動産に投資した意味がないですよね。良い物件を人に買ってもらって確実に仲介手数料を稼いだ方が業者にとってローリスク・ミドルリターンになります。不動産業者の中には土地バブルで大儲けした以上に、バブルがはじけて不良債権になった物件を抱え、破綻の憂き目にあったところがたくさんあります。
物件を保有して大きな値上がり利益を狙うよりも、利益の幅は少し我慢しても仲介を繰り返し手数料を稼ぐ方が、長い目で見れば得という判断が成り立つわけです。
昨日、スイス銀行最大手のUBSが7−9月期の決算でサブプライム関連の証券化商品を含めて4000億円の損失を計上したと発表しました。同日、シティグループもサブプライム問題の信用収縮に関連して60億ドル、7000億円以上の損失を計上したと発表しました。大きな数字でした。
昔「あなた作る人、私食べる人」というCMがありました。女性蔑視だと非難を受けていたことを思い出します。これまで欧米の証券会社で注目されたいくつかの決算発表がありましたが、その決算数字は悪いながらも想定内でした。証券化商品を作ったのは証券会社。そしてそれを抱えたのは運用に困った銀行という構図でしょうか。これから銀行の決算発表が続々と続きます。UBSやシティグループの決算を見て、悪い数字を出しやすくなったのではないでしょうか。霞がかかっていたサブプライム問題の全体像が徐々に見えてきそうです。