昨日、日経CNBC の方と打ち合わせをしました。話題は冬のボーナス運用についてです。
(12月14日金曜日 14時5分 TOKYOマーケットウオッチ に出演します)
いろいろなことがその時に話に出ましたが、私が最後にお伝えしたのは「投資家はどんな投資をしたいのか、夢を語ってください」ということでした。
金融商品取引法の施行により、金融機関は投資家の投資目的を確認し、それに合致した金融商品を丁寧にわかるまで説明することが義務づけられました。
したがって、投資家は自分のボーナス資金でどんな投資をしたいかを明確に伝えれば、金融機関から「その投資目的であればAという金融商品が選択肢のひとつです。何故なら・・・」という説明が受けられます。そして、違う金融機関の窓口でも同じ質問をします。するとそこでも「その投資目的であればBという金融商品が選択肢のひとつです。何故なら・・・」という説明が受けられます。
投資家はそれぞれの説明を聞いて、自分の投資スタイルに合致した金融商品はどちらなのかとゆっくり検討すればよいと思います。
投資目的は、むずかしく考える必要はありません。夢を語ればよいのです。「金額は30万円で、多少値動きがあっても構わない。1年後に2倍になったらうれしいなあ。だけど、最悪でも30万円の投資元本は残したいなあ」とか。
「お客様、それはたいそうな目標ですね。1年で倍にするには相当なリスクを取る覚悟が必要ですよ。しかもそれだけのリスクを取りながら、元本を確保したいというのは少し、虫がよすぎるかも知れません。1年で倍にしたいというのであればAがひとつの選択肢、最悪元本を確保したいというのであればBがひとつの選択肢です」
「それでは1年で5割、そして元本確保ではいかがですか?」
「5割の値上がりと元本確保の両方を取るのはやはり難しいですね」
「だったら現実的な設定はどれくらいですか」
こんなかたちで、投資家は夢を語り、受け手の金融機関はリターンとリスクのバランスを説明し、会話を繰り返していくと、投資家は実現可能な投資目的が見えてきます。
この投資目的が明確であればあるほど、金融機関から意に沿わない金融商品を押し付けられることもなく、自分の目的にあった金融商品の選択も広がってきます。
しかし昨日相談に来られた方は怒っていました。「前川さんは、そういうけど、実際証券会社の窓口に行っても、真剣に相談に乗ってくれません。頼りない人ばかりです。私はあなたのところで取引しますからと前もって言わないと真剣に取り合ってくれないのだろうか。とても、ぶらっと行って、相談に乗ってもらえる雰囲気ではありませんでした」と。
私の「夢を語ってください」という助言は、金融機関の窓口の対応を考えると、現実に合わないことなのでしょうか?もしこれが現実であるなら、金融機関に投資家保護を強化した、今回の金融商品取引法は機能しているといえるのでしょうか?金融庁が急ぎすぎて現場が対応できていないのか?現場の怠慢で準備が遅れているのか?どこの金融機関の窓口でも十分な対応が取り切れていないということであれば、制度を急ぎすぎたということかもしれません。
いずれにしても、投資の助言を求める投資家が気楽に立ち寄れる場所が見当たらないのは深刻な問題だと思います。