昨日、注目されていたメリルリンチの2007年10−12月期の決算で、有価証券の評価損として115億ドル、円換算額約1.2兆円を計上したことを発表しました。7−9月期を合わせた2007年下期で合計約240億ドルの損失額です。シティグループは既に発表済みですが、こちらは300億ドルを超えた損失額です。それでもなお、現在保有している証券化商品の残高から見て、更なる損失の追加が噂されています。
昨年8月からサブプライム問題の巨額損失が問題視され、シティグループ、メリルリンチともに代表者はすでに引責辞任を行い、しかもこの短期間に2〜3兆円という損失処理を行う。こんなこと、普通できますか?企業を守るためには、まず情報開示。そして迅速な処理と対応を世間にアピールして理解してもらう努力すること。
メガバンクが好業績を誇った2007年3月期の、たとえば三菱UFJフィナンシャルグループの利益は約8800億円でした。税金も払わず、国民にゼロ金利に耐えさせて、自己の立て直しに躍起だった2004年から2007年に挙げた利益総額は約2兆6000億円程度でした。いかに巨額な金額であるかがわかります。
加えて国は10兆円規模の大幅減税策、FRBは政策金利の大幅引き下げを考えているとか。かつて日本が失敗した例にならないように、短期間のうちに膿を出し切り、必要なときに必要な対策を一気に行うという姿勢が見えます。本家の失敗事例である日本はどうなのでしょうか?
今米国の先行きを憂う人が多いのですが、私は先行して過去の失敗を精算し始めた米国は再び競争力で世界をリードしていく存在になるのではと考えています。
本日、ニューヨークダウが300ドルを下げ、日本株相場も300円以上売られて始まりました。糸の切れた凧が冷たい北風に吹かれて地に墜ち、再び北風強い中で凧揚げの準備する人が出始めたように見えます。風が止み、凧揚げを一人上げ、二人上げだしたら、再び凧を揚げようとする雰囲気になってくるでしょう。私のところに、凧が打ちつけられた人のうちから、ちらちらと「そろそろまた凧を揚げたいと思っているのですが、空の具合はどうですか?」と質問する人が訪ねてくるようになってきました。私はみなさんに「まだ凧揚げ日和にはなっていませんが、上げ始めてもよいのではないですか?いずれ楽に上げられるようになると思います。自分のペースでお考え下さいね。人は関係ありません。自分の納得が大事ですから」とお答えしています。
残念なのは、あれだけ凧揚げが好きだったのに、落ちた凧を拾うこともできず、呆然とうつむいている人がいることです。せめて、落ちた凧を手にとって空の具合に興味を持って、見ていただけたらなあと思っています。