不動産投資信託(リート)が発行する債券の価格が総崩れとなり、新規に発行しようと試みても投資家が集まらず、発行を断念するところが多いようです。リートは高い分配金を求められている金融商品なので、自己資金に加えて、借入を行って、身の丈以上の不動産物件に投資し、その賃貸収入を原資に分配金を投資家に支払う仕組みです。借入のコストよりも、物件から受け取るリターンの方が高ければ、つまり2%で資金調達をして5%の運用が出来れば、借りて運用を行えば行うほど、分配金を支払う原資が多くなります。だいたい100の不動産物件のうち60が借金によるものです。
逆に資金調達コストが運用で受け取るリターンよりも高くなると、借りて保有している分は確実に持っているだけで損が蓄積していきます。
それでも、不動産物件を売ろうと思えば売れる流動性があるうちは、売却して借金を返せば良いのですが、売ろうにも売れなくなったら、更に困ったことが起こります。金融機関は貸し込んだ資金が回収できないと困るので、新規の融資はもちろんのこと、貸していたお金も返せという話をしてきます。他で借りて返せればよいのですが、返せと言われるところは、他の金融機関からも同様の要請があり、結果、もっと金利が高いところから借りるか、物件を無理して処分して資金を作るしか無くなります。こうなると敗戦処理に入ったリートに投資する人はいなくなり、ますます株価は軟調になります。
市況が好調の時は「多少借金をしても、それ以上に儲けられるからいいや」と、借金をして投資することに抵抗無く、積極的な投資を行う傾向にあります。しかし、いつまでも、そんなに良い相場が続くことはありません。?借りるコストが高くなり、?借りられる枠がはめられて、?借りたものを返せと催促され、?無理して物件を売却しようにも売却できなくなり、?行き詰まる。
いまは、4.5の位置でしょうか?ここで、踏ん張って乗り越えられたリートは、ミドルリスク・ミドルリターンの投資対象として期待できるでしょう。
玉石混淆のJリートから、選ばれて残ったJリートが築いていく、新しい時代の幕開けへの一歩だと思います。まだしばらく、Jリートの混乱は続くでしょうが、やっと中長期で投資できる金融商品としてJリートに注目したいと私は思いました。