日興コーディアル証券は長期的に魅力がある株式の個別銘柄を選定し、6月までに有望300銘柄を推奨するらしい。これを、個人向けの営業に活用するとのこと。「株式のことを聞ける証券マンがいなくなった」と嘆く投資家にとっては、これを機会に話し相手が見つかればよいですね。
「株式よりも投信を勧める方が楽」と語る証券マンを見て、「証券会社の特徴がどんどん消えていって、今後証券会社に投資家は何か求めるものが残るのかなあ」と心配していました。それがこの相場で、投信を案内するにも臆病になってしまい、証券会社は何で投資家をリードするつもりなのでしょうか?
証券会社で扱う金融商品は品揃えをしておけば、投資家が勝手に選んで持って行くものなどほとんどありません。多くの投資家は金融商品を購入するときの助言、購入後のアフターフォローがあった方が助かると思っているはずです。わかったつもりで投資して悩んでいる人であれば、なおさら「そういう人が回りにいたら」と望んでいるはずです。
しかし金融機関の窓口担当者は、「投資家の投資判断を迷わす」という理由で、自分の考え、見方を話すことを実質禁じられています。べらべらと根拠もない話をあたかも確実なように話すのもどうかと思いますが、「私は自分の考えを話してはいけないことになっています」という頑な態度も投資家の立場ではなく、自分の立場を守っているようで絵としていただけません。
今回、日興が行う個別銘柄300の推奨により、投資家と担当者が株式相場について話す題材を提供するという意味では良い試みではないでしょうか?
現在すでに50程度選んでいるそうですが、何故300なのでしょうか?まず「数字ありき」の印象を受け内容の期待度が下がります。それから、将来的にはこれらを組み入れた投資信託の組成も検討するとのことですが、少なくても私はそれを証券会社に期待してません。
相談窓口の人がプロとして投資信託を案内するのであれば、投資信託を案内する以前に、その素材である株式や債券など投資対象に興味を持ち、リスクやリターンを自分の中で整理したうえで説明しなければ、投資家に投資の必要性や楽しさは伝わりません。証券会社は証券会社らしさ、「株に強い」、「債券に強い」、「相場観がある」など、これまで守ってきたものを見失っているように思います。