最近は、ニューヨーク市場で日経平均株価先物が高くなり、円安で東京市場に戻ってきますが、海外でついた株価に届かないため、「東京市場では上値が重い展開」という市況コメントが続いています。
私はいつも市況コメントを聞いていて思うのですが、コメントの表現がムードに流れていて、同じ状況でも表現の仕方が異なるのが気になってしまいます。
たとえば日経平均株価が100円、200円動いたときに、「日経平均株は本日は大きく上昇(下落)し・・・」というコメントがあります。13000円、14000円の日経平均株価の水準で100円、200円の上下がとても大きいと思えません。株式の動きであれば、当たり前の範囲ではないでしょうか?むしろ値動きが30円〜50円内で収まる小動きで終わることの方がびっくりです。
たとえば日経平均株価は3月17日11787円、4月17日13398円、昨日14219円でした。円米ドル為替は3月17日97円40銭、4月17日102円50銭、昨日は104円70銭でした。日経平均株価で2500円上昇し、円米ドルで7円円安に振れました。この2ヶ月の流れを、「日本株の株価は上値が重い」、「円安への動きにはエネルギー不足」という毎日のコメントは適切だったのでしょうか?
見方によっては「日本株は本日もシッカリ。円安は底堅い」というコメントであっても、違和感がなかったように思います。
またぞろ「底値で拾った株で儲かった」とか、「円キャリー取引復活。円高の突っ込みは投資チャンス」とか、あちこちから成功体験、自慢話が出始めています。売っていた人が踏まれて手じまいし、「今度は買いで目先のキャピタルゲインを取ろうか」と思案する人も増えているでしょう。弱気の材料よりも、「買いたい材料」が日増しに増えてきました。
株価の上昇の後に「何故買われたか」の材料がついてくる、まさに来週はそんな週になるのではないでしょうか。チャーチストは「15000円を抜けたら16000円も」と、誰が考えても当たり前の可能性を今更おっしゃるでしょう。
15000円に乗せると、下値から2割以上も評価額が回復したことになります。為替水準は底値からは10%以上も円安水準にあり、多少円高に振れても動揺しない水準に戻りました。傷の癒えた投資家もこれから再投資の機会を探すでしょう。上昇期待が高まるほど売りは手控えられ、しびれを切らした投資家が買いに回り、値が軽くなり・・・。コメントはいつのまにか「本日も株価はシッカリ。円安基調」に変わるのかも知れません。
これまでは売りを想定する必要はなかったですが、今後は「ここまであれば十分。利益の確定を検討する」という水準を常に想定して、株価の上昇に振り回されないようにしましょう。
利益を確定することを怖れる必要はありません。何度も買えるチャンスはこれかもあるわけですから。ただ15000円の水準まではせっかくだから、値動きを楽しんでよいのではないでしょうか?