原油価格高騰で潤ったオイルマネーが原油先物取引に投資して、原油価格の先高感に拍車をかけているとのこと。新興国企業が本業そっちのけで株式や不動産に投資したり、新興企業が自社株を担保にお金を借りて企業を買収して企業価値の増大を図ったり。過去の例を持ち出すまでもなく、「価格が上がり続ける」前提での過当・過剰投資の終焉は悲惨なものになります。
どんな優良企業でも、妥当価格があり、そして「いくらなんでもこの株価は長続きしないだろう」割高な株価が調整される場面が必ず訪れます。石油高騰で困っている人、石油高騰対策を喫緊の課題として優先順位の高い人が急速に広がっています。それだけ石油は生活に密着した存在です。原油価格80ドルを超えた時点から、新エネルギー対策は環境問題に対する関心の高まりもあって、実現への道が定まった感があります。
おそらく新エネルギーの台頭があっても、すぐさま消費者のエネルギーにかかる費用負担が急に楽になるわけではないでしょうが、原油価格の水準は大きく修正される可能性が高いと思います。日経平均株価指数の採用銘柄が順次見直されているように、石油は外され、新エネルギーの割合が増えていく。
そのとき、原油が必要でもない投資家は利益を確定しようと動きます。これまで「イッセーノセッ!!」で買いに入った投資家が、買い注文の細る中、「イッセーノセッ!!」で今度は売りに回るのですから、値段がつくわけがありません。しかし、損失を嫌った、損をすることが許されない年金資金は運用責任を問われかねないので、値段に構わず、売り急ぎ、パニックの中値を下げていく・・・。そんな時期がいつ来てもおかしくないのではないでしょうか?
OPECは「原油を増産して原油価格を抑制してほしい」という原油需要国の要請に対して、「原油が足りなくて上がっているわけではない」という見解を何度も出しています。
私も原油高は需要が大きくて上がっているのではなく、「原油価格が上がり続ける」と考えている投機家の数が多いからだと思います。投機家の数が減るのを待つしかありません。