「非の打ち所がない」を何故めざさないのかが不思議??

 本日の日経コラムの金融商品深掘りチェックで「グロソブ」、国内最大の「グローバル・ソブリン・オープン毎月決算型」が取り上げられています。
「毎月分配型は毎月分配金が出るたびに税金が徴収され、分配金を当てにしていない投資家にとっては効率が悪い」
「信託報酬の1.3%は他の同型投資信託に比較すると高い」
「投資対象が個人でも投資可能な主要先進国の外国債券であり、わざわざ信託報酬を払って投資を委ねる必要がない」
「分配金にばかり目がいき気づかなかったけど、基準価額がこんなに下がっているのでは意味がない。おまけに最近は分配金額まで引き下げられた」
などなど。
 国内最大の投資信託になってしまった有名税なのか、この投資信託をボロクソに言う人たちが多い。
 私は自分の著書「あなたの投資信託選びは間違ってないか」でも書きましたが、「昔の預金のように、ある程度の利息がつき、安定した金融商品で資産を確保したい」という多くの日本人のニーズに合う投資信託として、主要先進国国債で運用する外国債券型投資信託が適していると思いますし、その中で、ベストではないけど「グロソブ」はよくできた、基本形の投資信託だと評価しています。
世の中には、毎月の分配金毎に税金を取られていても、その口座に貯まっていく分配金を楽しみにしている人がいます。むしろ、その人たちにとっては、「必要な金額だけで、その都度売れば、無駄な税金も取られずにいいじゃない」と言われても、「いつ売ったらよいか。どう売ったらよいか」とストレスに悩む人もいるでしょう。そういう意味では、分配金を口座に落とすやり方は道理ですが、再投資コースは毎月分配型にはいりませんね。
グロソブの良さは、投資家への情報提供にお金をかけていることです。それにメリットを感じなくて信託報酬の1.3%が高いという人は、同じタイプで信託報酬がもっと安いものがありますから、そちらを選べばいいことです。グロソブにこだわる必要はありません。同様に、自分で直接外債投資ができる人は自分でやればいいんです。
 最後に、「分配金を多くもらっていても、基準価額が下がっていたのでは意味がない」という人は、実際いくら分配金を受け取って、その期間どのくらいの基準価額が下がったのか。差し引き+だったのか、−だったのかを検証してみてください。この一年間だけをとらえれば円の独歩高で10%を超える−になったときもありましたが、これまで年間のリターンを眺めると、評価してあげないとかわいそうだと私は思います。
 ただ一点私が「グロソブ」の投資方針で不思議なことは、資産残高が増えるにつれて「販売金融機関」の取り分が増える仕組みになっている点です。金融機関に多く売ってもらうためのインセンティブとして必要な仕組みだったのでしょうが、国内最大の投資信託になり、しかも成功した投資信託なので、その還元は販売金融機関をまず先にするのではなく、投資家の信託報酬を下げるべきでしょう。信託報酬が高いことを承知で投資していただいている投資家に報いるべきだと思います。
前々から感じてました。なぜグロソブはこの点を見直さないのかと。この点を改めたら、「非の打ち所がない」投資信託になると思うのですが・・・。不思議です。