今週は、「シティグループのサムライ債の条件について、どう考えるか?そもそも、投資対象としてどうか?」という質問をたくさん受けました。確実に、前回発行した6月以上の注目を集めています。債券投資は償還満期まで保有する覚悟で投資するものですから、相手がその間に倒れてしまうことなど想定していません。したがって、投資の前提条件は期間3年のうちに、「シティグループが破綻するかもしれない」と疑っている人にはお勧めしません。利率3.22%に魅力を感じて投資したものの、「シティグループ」という記事が目に入るたびに破綻話かと「ドッキリ」していては身が持ちません。そういう人は投資対象からはずしてください。
「期間3年でシティグループが破綻する企業とは思えないけど、噂で不安になることは何度かあるかもしれない。利率3.22%は魅力だ」という人は、買って3年間忘れられる金額に抑えて投資したらどうかとお伝えしています。
もし「シティグループの期間3年のサムライ債であればデフォルトの心配はない」と考えている人であれば、利率3.22%は数字で受ける印象以上に魅力的だと思います。
おそらく、このシティグループのサムライ債の起債が今回も成功を収めた場合は、金融機関のマーケティングのやり方に大きな影響を与えると私は予想します。9月10日付けのブログでも紹介しましたが、1回、2回のシティグループのサムライ債を5000億円販売したということは、1000万円単位で購入したとしても、5万人の方が購入したことになります。こういっては何ですが、日興コーディアルの既存口座に、「シティグループが発行する債券であることを知りながら、高利率に関心があり、しかもすぐに高額の投資を決め、振り込みの準備ができる」投資家が、それほど存在するとは思えません。話に聞くと、わざわざこのために、日興コーディアルに口座を開き購入した投資家も少なくないと聞きました。新規の開拓です。
この結果を、他の金融機関はどう受け止めるでしょうか?「どこから、その資金が向かったのだろうか?」。「うらやましい。瞬時の決断ができる、大口のキャッシュを持った、現在ホットで良質な富裕層の顧客リストを手に入れたことになる。これだけのリストが集められるのであれば、この利率も高くない」などなど。
「キャッシュバックサービス」はもはや当たり前となり、他社との差別化にはなりません。同じ顧客に返すなら、レートを切り上げた預金の方が喜ばれるでしょう。シティグループは最初から日本でこうした優良顧客リストを集めようとする意図はなかったと思いますが、結果的に、金融機関なら誰でも欲しいリストを手に入れたことになります。
わたしのところに、これだけシティグループのサムライ債について、問い合わせが入ったわけですから、宣伝効果も抜群ですね。個人的な好き嫌いは別として、「シティグループあっぱれ」という評価をせざるを得ないでしょう。
ところで、「いま債券投資は面白い」の内容でお詫びがあります。インターネット上で、読者の方から間違いの指摘を受けた箇所があり、訂正させていただきました。本書143〜144ページにある表の内容で、残存期間は正しいものですが償還満期日の日付が間違っていました。大変失礼しました。
ご指摘に気がつき、すぐに動いたのですが、ここまで時間をかけてしまいました。恐縮です。
訂正箇所については、出版元近代セールス社のホームページ、新刊案内の「いま債券投資は面白い」のところで、お示しさせていただきました。重ねてお詫び申し上げます。