昨日は問い合わせが殺到しました。問い合わせは大きく2つに分かれ、?「さすがに最近の相場の下落で不安になっています」と、?「さすがに最近の相場の下落でウズウズしてきました」です。共通しているのは「安過ぎる」。だけど「買えない」、だから「買いたい」です。
こんなに急落すると、相場水準の位置がわからなくなります。08年にちなんだ訳ではないですが、ニューヨークダウ株価指数8000ドル、日経平均株価8000円、原油価格80ドル、金価格880ドル、米ドル98円。7月、ニューヨークダウは11600ドル、日経平均株価は13500円、原油価格は140ドル、金価格は950ドル。様変わりです。
本日、日経には「投資信託、外貨建て不振で円高圧力強まる」という記事があり、外貨資産に投資した投資信託の解約が、外貨売り・円買いの動きを生みやすくなっていると紹介しています。
バランス型投資信託の弊害だと私は思うのですが、相場の先行きに不安になったり、やむなく現金化しなければならなくなったときに投資信託を売却すると、その中には株式もあり、債券もあり、不動産投信もあり、それが相場の割安・割高の軽重関係なく売却されます。円資産あり、外貨資産あり。特に後半のバランス型投資信託は分配金を多く期待されていたため、外貨資産の割合が高いもの、しかも流動性が劣る通貨建ての資産を多く組み入れていましたから、これらの売却が嵩むと価格形成を大きくゆがめてしまうでしょう。
バランス型投資信託が売れ筋のときは、「何でどれもこれも上がるのかなあ」という相場のエンジンになりましたが、今は逆噴射です。「なんでこんなに安くなっているのに下がるのかなあ」と言っても始まりません。個別を売っているのではなく、まとまりで売っているわけですから。
したがって、キャピタルゲイン目的の人はしばらく出番がありません。相場の底が予想できないうちは、ナンピン買いを恐くてできないからです。8000円で止まると思うから、それまでのナンピン買いを検討する意味があります。そして8000円が底で、上値が12000円までは期待できると検討がつけば、ナンピン買いを実行する勇気が持てます。だから「安すぎる」と思っても様子を見ているし、怖く感じてしまいます。
そこで昨日相談にこられて「この水準は安すぎるから買いたいんです」という方には、「今まで投資したものは全て忘れるか、今の水準をスタートとして割り切れるのであれば、新規投資のつもりで、日ごろよりも少ない投資金額でされたらいかがでしょうか」とお話しました。「目先の株価の上げ下げなど誰にもわかりません。だけど、この水準は割安だ。安すぎると考える気持ちは大事だと思います。この先、今投資した時点から1割下がった、上がったという実感できるモノサシとして考えるのは意味があると思います。だけど、もし過去投資したものの損を取り返そうという気持ちがあるなら止めたほうがよいと思います。今後においても冷静な投資判断の邪魔にしかならないですから」と付け加えてお話しました。
私は正直、私の本のタイトルで恐縮ですが、「いま債券投資が面白い」と思っています。しばらくは、キャピタルゲインに血道をあげるよりも、この円高の環境を活かした外貨投資でインカムゲインに主体を置く絶好の機会だと考えています。そのうちに、もしかしたら、並行してキャピタルゲインも魅力的な環境になるかもしれません。毎日の値動きに、一喜一憂、振り回される時間がもったいないと感じています。もしも、もしも、みなさんが今後場合によっては、キャピタルゲイン目的の対象で「安くなったら買う、安くなっても売る」という機会を狙っているのであれば別です。今後安くなる過程では、おそらく「買い」も「売り」も行動を起こさないというのであれば、インカムゲインの機会に目を向けた方が精神衛生上よいのではないでしょうか。これは私の提案です。
ちなみに、昨日から再度、日経ネットの「ワガマガ」により、「あなたの投資信託選びは間違ってないか?」にちなんだ記事で「新興国・株式抜きの投信を選ぶ」という内容がアップされていますので、よかったらのぞいてください。せっかくの歴史的瞬間に遭遇しているのですから、自分にあった投資とのつき合い方をじっくりと見つける機会にしたいです。