不動産投資信託(REIT)のニューシティ・レジデンス投資法人が民事再生法の適用を申請しました。負債総額1123億円。賃貸住宅を投資対象とし、首都圏を中心に約100件のマンションを保有し、資産規模は2000億円。11月10日付で上場廃止する予定。REITで初めての破綻であり、今後どのような形で株主責任が問われていくのか、再上場の道は開けるのか。
2003年の未曾有の国内不動産不況を救う原動力になったのは、「いくらの価格がついていたか」という相場値段ではなく、収益還元法という「その不動産からいくらの収益があげられるか」というモノサシで不良資産を買いたたきリニューアルして付加価値を高めて売却を繰り返し、不動産の流動性を高めた「外資系ファンド」と、不動産市況の先行きに危機感を持ちREIT市場を立ち上げた関連の方々の頑張り、努力でした。今、その二つとも勢いを失いかけています。また以前のように、「売りに出してみないといくらで売れるか分からない」という状態に戻ってしまいそうな気配です。
このまま、REIT市場の惨状を自己責任で放ってしまうことは国民の多くの資産を傷めることになりかねず、政治はもっとこのことに関心を持ち、流動性の道を確保する政策が必要だと思います。
ニューヨークダウ株価も再び大幅安となり、8600ドル程度まで急落。売れる資産には、皆赤紙がベタベタと貼られ、「これだけは今売りたくない」という持ち主から無理矢理はがして、売り払われている様子です。そして、手元に残ったのは現金に換えることのできなくなった骨董品ばかり。
「こんなに割安になれば投資のチャンス」と考えている人を応援する仕組みを整えなければ、こんな状況で無駄玉を打つ人はいません。まずは「売ろうと思えば最低これぐらいでは売れる」という目安を取り戻すことが大事です。「言うは易く、行うは難し」ですが、自然に任せて解決できるような状況にはもはやありません。政治の力が求められます。個人の努力ではどうにもなりません。