本日も疲れる相場ですね。下がれば上がる。上がれば下がる。悪い景気指標が、悪い決算発表が出るのが分かっていたはずなのに、織り込んでいたはずなのに、相場のセンチメントが弱気に振れれば一気に下がる。もし「織り込み済みで買い」と上げるムードになっていたら、ここまで売られることもなかったのに、と思います。
「この緊急事態。四の五の言わず、みんなが不安に思っている金融機能の安定化を早急に図るべき。すべてのことを惜しむべきときではない」と各国政府・当局は伝家の宝刀を抜きまくって対応した。元々抜いたところで、「すぐ変化が現れる即効性のあるものではなく、時間をかけて結果を出していくこと、しかしムードを変えるだけでも意味があるはず」と必至の覚悟で対応した。
しかし、駄々っ子マーケットは過去の悪い数字を見て、改めて「やっぱり最悪だあ。この先は真っ暗だあ」と床に転がってわめき騒ぐ。金融安定化の道を開いた政府・当局に期待するのは、宣言したことを速やかに実行に移すこと。「なんだ、言うだけで何も始まらない」という臭いをかいだだけでも、市場はパニックになるでしょう。金融が安定して、資金繰りに心配ないと安心感がでれば、自然に割安すぎるものから投資マネーの物色は始まります。投資マネーが世の中に、なくなったわけではないのですから。政府・当局に期待したいのは、相場浮揚策など大それたものではなく、相場の上昇の阻害要因になっている制度があれば見直し。新しいことまで望まないから、「何でこんな不自由な制度を放置してきたのか」という点の見直しです。
たとえば、面倒くさく、わかりにくく、整合性のない證券税制など。昨日、リートのセミナーに参加してきました。そのときに、制度で認められていない「自社株買い」がをリートにも認めて欲しいという話がリート関係者から出ました。「賃料収入は安定していて、株価で換算した配当利回りは10%を超える。投資家が買わないなら自分で買いたい。そして割安さをアピールしたい」という話です。
おそらく関係者にヒアリングすれば、「この制度は実情に合わず、修正してもらいたい」という案件はかなり存在するのではないでしょうか?そういう案件の修正を実行に向けて検討するという話のひとつひとつが、「そろそろ投資してみようか」という意欲を呼び起こし、こうした投資家が増え、指値の買いを入れることで、相場の底が固まり、切り上がっていくのだと思います。
ここまでの危機に至っては個人の努力の範囲を超えています。政治です。政治の意思です。市場は注目しています。政治の本気度を。宣言に向けての行動を。非常に頼りないですけど、国民は期待するしかありません。最近の相場乱高下は非常に疲れますが、あえて言えば、政治に緊張感を持たせるという良い効用があるとも言えます。
世間ではいたずらに不安をあおる話が氾濫し、耳に入って不安に思っている方が多いと思います。ここはいきなり外に飛び出すような行動を取ると新たな後悔をつくることになりかねません。「今は深呼吸以外は何もしない」と決めて、来週になったらそのときに考えるという風に、結論を早く出してしまうことは避けてください。今考えに浮かぶようなことの多くは、冷静に判断した結果ではなく、不安から開放されたいがための思いつきがほとんどですから。ゆっくり考える時間はあります。