「お父さん、日銀って見ないけど、どこにあるの?」「この近くだったら日本橋にある」。「お父さん、コウテイブアイって何?」「日銀は個人とのやりとりがない特別な銀行で、銀行しか相手をしないところなんだ。そのときの貸し借りの基準になる金利が公定歩合だよ」「ふ〜ん」。先日の息子との会話。彼はいつも、こうした質問をぶつけるだけで理解する気がないので、残念なことですが、おそらくもう頭には残っていないと思います。
知り合いが岡山に転勤して夫婦で街に出たときに、奥さんがしきりに「岡山はやはり異国情緒のある街だ」と感心していたそうです。何故かと問うと、「だってあちこちに中国の銀行があるのよ」。地方銀行の中国銀行を中国の銀行と勘違いしていたそうです。息子の「日本銀行って見かけない」という質問で思い出した話です。
それからもう一つ思い出したのが「公定歩合」という言葉。最近日本語ブームですね。この言葉には恥ずかしい思い出があります。一応経済学部の学生だった私の「経済原論」という科目の初めての試験で、この「公定歩合」の読みが問題として出ました。読みとしてはおそらく「コウテイブアイ」と「コウテイブゴウ」の2つが考えられるところ。私は何度も書いては消し。最終的に「コウテイブゴウ」と答え、貴重な点数を失いました。問題にするぐらいだから私以外にも間違える大学生がいるということなのでしょうか。友人に確かめるのも恥ずかしく、初めての告白です。今では金融・経済を語る端くれの身としては恥ずかしくもあり、懐かしい思い出となりました。かくこのように、現在でも金融・経済のことを縁遠く思っている人がたくさんいます。
このブログでは、できる限り金融・経済を身近なこととして取り上げたいと思って書いています。今回の息子の質問を受け、さらに意を強くしました。金融経済を難しい題材としてではなく、なるべく多くの人に、関心を持ってもらう機会であれば幸いです。今後とも、気楽に読んでください。